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習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」

2020年2月4日(火)11時55分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

●看護師長によると、紅十字会に物資を取りに行くときは、協和病院だと言わないようにしないとなりません。協和医院だと言ったら、物資をくれないのです。なぜなのか、理由は分かりません。

●協和病院は武漢で最初にコロナウイルス患者を受け入れる病院として指定されました。それなのに防護服がないので、協和病院西院ではゴミ袋で防護服を作って働く写真を見たということです。それが本当かどうかは分かりませんが。

これ以降、中国大陸のネットは炎上したのである。

なぜこのようなことが起きているのか?

協和医院の看護師長でさえ、なぜだか分からないと言っているので、ここからは推測的な考察となる。

まず考えられるのは、1月24日付のコラム「新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示はなぜ遅れたのか?」で以下のように書いた。

――1月19日に中国政府のシンクタンクの一つ中国工程院院士(博士の上のアカデミックな称号)である鐘南山氏率いる「国家ハイレベル専門家グループ」が武漢市の現状視察にやって来た。そこで現状を把握した一行は、その日の内に北京に引き返し、中央に報告したという。こうして習近平の知るところとなり、20日に習近平が「重要指示」をやっと発布することになったわけだ。

この時に鐘南山院士が視察した先が武漢一の病院である協和医院だった。

そこで「人‐人」感染があることを知ったのだ。

実は協和医院の脳神経外科が1月7日に趙軍実という患者の外科手術をした。このとき趙軍実氏は新型コロナウイルスに感染していたらしい。しかし武漢市はまだ新型コロナウイルス肺炎の事実を公けにしていないので、脳神経外科の医者たちは認識していなかったようだ。ところが1月11日になって、患者が原因不明の肺炎に罹り、15日になると、その病原菌が新型コロナウイルスだと診断された。この患者によって、手術や治療に当たった14人の医者・看護師が新型コロナウイルス肺炎に罹ってしまったという。

趙軍実の感染源は武漢市の海鮮市場である可能性が高いが、手術や治療に当たった医者や看護師たちは誰一人海鮮市場には行っていない。つまり野生動物に直接接触はしていないのである。全員、患者である趙軍実から感染したことになる。

医者たちなので、新型コロナウイルスは「人‐人」感染することを自ら確認した。

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