最新記事

アメリカ政治

トランプ弾劾裁判、これからどう進むのか

What to Expect of Opening Arguments?

2020年1月23日(木)15時51分
ジェニー・フィンク

首席検察官役のアダム・シフ議員が上院で冒頭陳述(1月22日、米上院) REUTERS/U.S. Senate TV

<冒頭陳述は検事役の弾劾管理人とトランプ弁護側それぞれが3日間にわたって計24時間行う。その後は、上院議員からの質問タイムだ>

米上院で審理が始まったドナルド・トランプ米大統領の弾劾裁判は3日目に入り、米東部時間の22日(日本時間23日)、まず検事役を務める弾劾管理人(下院民主党が選出)が冒頭陳述を開始した。

弾劾管理人は、トランプ訴追の理由である弾劾条項2項目を述べる。権力乱用と議会妨害だ。陪審員役の上院議員はまる1日、弾劾管理人の陳述を聞くことになる。

審理初日(東部時間の21日)には、上院共和党が提示した裁判の運営規則案をめぐり、民主党共和党が延々と攻防を展開。最終的に証人招致については結論を先送りにしたまま、規則案が可決された。それにより、冒頭陳述は弾劾管理人・弁護側それぞれが3日間にわたって合計24時間行うことになった。弁護側が陳述を開始するのは、週末以降になりそうだ。弾劾管理人は1日8時間ずつ陳述を行い、割り当てられた時間を使い切る意向で、午後1時開始、午後9時終了を予定しているが、休憩を挟めば終了時刻はずれ込む。

ゼレンスキーは圧力を否定

政治ニュース専門ケーブル局C-SPAN2が審理の模様をテレビでライブ中継し、ラジオでも流すほかオンラインでも配信する。公共放送PBSもYouTubeでライブ配信する。

アメリカ史上弾劾訴追された大統領は、アンドリュー・ジョンソン、ビル・クリントンに次いで、トランプで3人目。トランプの弾劾条項2項目は昨年12月に下院で可決された。民主党議員はほぼ全員が賛成、共和党議員は造反者ゼロで全員が反対した。

弾劾の核心は、トランプが今年の大統領選で勝利するため、不公正なやり方でウクライナの助けを求めたかどうかだ。トランプはウクライナへの軍事援助と同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談を棚上げにして、ジョー・バイデン前副大統領とその息子で、ウクライナの天然ガス会社ブリスマの役員を務めていたハンター・バイデンに関する捜査開始を発表するようウクライナに迫ったと、民主党は主張している。

トランプはまた、文書の提出を拒否し、上級顧問や政権スタッフに証言を拒むよう指示したとして、議会妨害の罪にも問われている。

トランプは不公正な行為は一切行っていないと主張。ゼレンスキーとの「完全無欠の」電話協議の記録を読むよう、国民に呼びかけている。ゼレンスキーはハンター・バイデンの捜査を行うようトランプに圧力をかけられたことはないと主張。トランプも圧力をかけていないと言い、汚職捜査を命じるのは大統領の務めだとして、弾劾訴追の動きを自身の失脚を狙った民主党の「魔女狩り」だと決めつけた。

<参考記事>今週開始!トランプ弾劾裁判はどこで見られる?
<参考記事>米弾劾審議で冒頭陳述、民主党は「ウクライナに不正に圧力」と非難

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ビジネス

米マスターカード、1─3月期増収確保 トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中