ニュース速報

ワールド

米弾劾審議で冒頭陳述、民主党は「ウクライナに不正に圧力」と非難

2020年01月23日(木)13時35分

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る上院の弾劾裁判は22日、野党・民主党のアダム・シフ下院情報特別委員長(中央)が冒頭陳述を行い、トランプ氏が11月の大統領選挙で再選を有利にするために不正な方法でウクライナに圧力を掛けたと非難した(2020年 ロイター/MARY F. CALVERT)

[ワシントン 22日 ロイター] - トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る米議会上院での弾劾裁判は22日、野党・民主党のアダム・シフ下院情報特別委員長が冒頭陳述を行い、トランプ氏が11月の大統領選挙で再選を有利にするため、不正な方法でウクライナに圧力を掛けたと非難した。

シフ氏の冒頭陳述では、トランプ氏が昨年、根拠のない汚職容疑で民主党のバイデン前副大統領とその息子を調査するようウクライナのゼレンスキー大統領に圧力を掛けたと主張。トランプ氏はウクライナ大統領に対して調査を公表するよう圧力をかけ、自身の再選に有利になるようにしたと非難した。

その上で「何をしても許されると信じている最高司令官ほど、民主主義に対する脅威となるものはない」と述べた。

シフ氏はさらに「トランプ大統領が(ウクライナへの)軍事支援保留を命じた証拠がある。トランプ氏は自身の再選を有利にするために支援を保留した」とし、「われわれはトランプ氏がこの罪と(議会の)調査妨害で有罪だと証明できる」と結んだ。

民主党はこの日、8時間にわたって冒頭陳述を行った。民主党の冒頭陳述にはあと2日割り振られており、23日に再開される。その後、共和党も3日かけて反論。審議は来週には終了する可能性がある。

トランプ大統領は訪問先のスイスで記者団に対し、民主党は十分な証拠を持っていないと主張。「われわれのチームはうまくやっている。われわれはすべての情報を把握しているが、民主党は把握していない」と述べた。

トランプ氏は世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席するためスイスを訪問。トランプ氏不在の中、上院は22日未明、弾劾裁判の審理運営規則案を賛成多数で可決。これにより、この日の冒頭陳述の開始が可能となった。[nL4N29R24B]

22日公表のロイター/イプソスの世論調査によると、米国民(所属政党問わず)の約72%が、ウクライナ疑惑について直接情報を得ている人物が証言すべきだと回答。政党別では民主党員の84%、共和党員の69%が証人招致を支持した。

ニールセンの視聴率調査によると、審理初日の21日には1100万人前後が弾劾裁判のテレビ中継を視聴した。昨年11月に下院の弾劾調査で公開証言が初めて行われた際には、これを上回る1380万人がテレビ中継を視聴していた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中