最新記事

火災

オーストラリア火災、ボランティアの消防団員もクリスマス返上で消火活動

2019年12月25日(水)14時25分

長期的な森林火災に見舞われているオーストラリアでは、クリスマスも消防士だけでなくボランティアの消防隊が消火活動にあたっている。ABC News (Australia) / YouTube

長期的な森林火災に見舞われているオーストラリアでは、当局によると過去2カ月間に900戸以上の住宅が損壊し、ニューサウスウェールズ(NSW)州で少なくとも6人、サウスオーストラリア州で2人が死亡した。被害区域は5つの州で合計370万ヘクタール以上に及んだという。各地で高温と乾燥した気候による森林火災が続く中、消防士だけでなくボランティアの消防隊も消火活動にあたっている。

ガレス・ジェミーソンさん(28)はクリスマスを返上してシドニー周辺で消火活動に加わっている数百人のボランティアの1人。家族がいる消防士が休暇を取れるようにと、クリスマスに仕事をすることにしたと話した。

NSW州の中部海岸に住むアダム・ワグスタッフさん(49)は、自身が住む地域の森林火災は鎮火したものの、シドニーの西方にあるブルーマウンテンズ周辺が壊滅的な状況にあるため、やはりクリスマスを返上してボランティアの消防隊に参加した。

オーストラリアでは地域のボランティア活動が盛んで、火災や嵐などの際にも大きな役割を果たしている。

しかし、今季の森林火災は各地で壊滅的な被害をもたらし、前週には2人のボランティアが死亡する事態となったため、こうしたボランティアに対して報酬を支払うべきかどうかを巡る議論が政界で巻き起こっている。

州によって規則が異なるが、ボランティアは勤務先の企業と直接交渉してボランティア休暇を取ることが多い。

サウスオーストラリア州では先週末、ブドウ畑にも被害が及び、NSW州では集落全体が焼き付くされてしまったところもある。

25日にはウエスタンオーストラリア州のパースを除くオーストラリア全体で気温が低下するものの、次の週末までに再び高温に見舞われる見通しで、特に南部の気温は摂氏40度を超えるとの予報が出ている。

[シドニー 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


勢いの衰えることを見せない森林火災に、ボランティアの消防団員はクリスマス返上で消火活動にあたっている ABC News (Australia) / YouTube


2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インタビュー:外交で「高市カラー」は難易度高い、外

ワールド

韓国産業相が再び訪米、関税協定の最終合意へ詰めの協

ビジネス

午前のドルは151円後半で弱含み、株安で調整の動き

ワールド

茂木外相、関税協議の日米合意「着実に実施」 自身が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 5
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中