最新記事

女性問題

経済面での男女格差是正まで257年、特にリケジョ活躍の場が乏しい実態が明らかに

2019年12月24日(火)17時30分
松丸さとみ

<世界経済フォーラムで最新のジェンダー・ギャップ指数が示されたが、格差を是正するためには理系女性の労働市場での活躍が今後の鍵を握っているようだ......>

経済面での男女平等実現は257年後

世界経済フォーラム(WEF)が先ごろ発表した最新のジェンダー・ギャップ指数(2020年版)で、世界的に男女の格差がなくなるまでに、99.5年かかることが明らかになった。経済の分野で男女平等が進んでいないためで、この分野だけで見ると格差が是正されるまでにかかる年数は257年に跳ね上がる。特にSTEM(科学・技術・工学・数学)の仕事に就いている女性の割合が低く、「リケジョ」と呼ばれる理系女性の活躍が今後、この年数を短縮するための鍵を握っている可能性がある。

WEFのジェンダー・ギャップ指数は、政治、経済、教育、健康の4分野を分析したもの。教育(受けられる教育の水準)は、完全な男女平等が実現されるために必要な年数は12年で、4分野の中で最も短かった。さらに、調査対象となった153カ国のうち、35カ国ではすでに完全な男女平等が実現できていた。

前回調査と比べて改善の幅がもっとも大きかったのは政治だが、それでも格差は4分野の中で最大だった。下院で女性が占める割合は25.2%、大臣職では21.2%だった。WEFは、政治の世界で活躍する女性が増えると、これが「ロールモデル効果」となり、実業界でも上級職に就く女性が増えるとしている。民間および公共のセクターの管理職では女性の割合が36%となり、前年比約2%増加となった。

とはいえ、労働市場全体として見ると女性の参画は苦戦しており、前述の4分野の中で唯一、前回調査時よりも男女格差が広がったのが経済分野だった。さらに、クレジット、土地、金融商品などを活用できる機会において女性は著しく不利であり、そのおかげで女性が起業したり資産管理で生計を立てたりという機会を得にくくなっているという。

活躍の場が少ないリケジョ

報告書ではまた、LinkedIn(リンクトイン)の協力により、過去5年間で採用が活発だった職業において、女性がどの程度の割合を占めているかについても分析している。とくに、技術的なスキルが求められる分野では、女性の割合が低いことが示された。

報告書は、マーケティングや営業、製品開発の分野では女性が占める割合が比較的高く(それぞれ40%、37%、35%)、男女平等がかなり実現できていたとしている。一方で、データおよび人工知能(AI)(26%)、エンジニアリング(15%)、クラウド・コンピューター(12%)など、いわゆるSTEMの分野で活躍する女性は比較的少なかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ベネズエラ暫定大統領、5月に「責任ある賃上げ」 額

ワールド

南アジア地域の26年経済成長率、6.3%に鈍化=世

ビジネス

グレンコアと台湾CPC、中東産原油積み込みへタンカ

ワールド

ノルウェー、現時点で原発導入作業開始は控えるべき=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 7
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 8
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    アメリカとイランが2週間の停戦で合意...ホルムズ海…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 5
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 6
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中