最新記事

シリア

トルコ、シリアの親米クルド人武装勢力SDFへの攻撃継続 民間人が双方で15人死亡

2019年10月11日(金)11時11分

トルコ軍はテロ組織と見なすクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」に対する攻撃を10日も継続した。写真はシリア国境の町テルアブヤドで上がる黒煙(2019年 ロイター/MURAD SEZER)

トルコ軍はテロ組織とみなすクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」に対する攻撃を10日も継続した。トルコはトランプ米大統領がシリアからの米軍撤退を表明した後、シリア北東部での攻撃を開始。前日の空爆と地上戦開始に続く攻撃で、戦闘員だけでなく民間人の死者も出ており、多くの住民がこの地域からの避難を迫られている。

トルコ国防省は攻撃でこれまでに228人の戦闘員が死亡したと発表。クルド人勢力は、トルコの攻撃に抵抗していると明らかにした。

シリア人権監視団によると、SDFの戦闘員少なくとも23人が死亡したほか、トルコが支援するシリア勢力の戦闘員6人も死亡した。このほかSDFによると、空爆と爆撃により民間人少なくとも9人が死亡。トルコ当局者は、クルド人勢力による反撃で9カ月の乳幼児を含む民間人6人が死亡したとしている。

トランプ大統領は10日、ツイッターに「われわれには3つの選択肢がある。数千人の部隊を派遣して軍事的勝利を収めること、トルコに制裁を科し資金面で大打撃を与えること、あるいはトルコとクルド人勢力間の合意を仲介することだ」と投稿。

ホワイトハウスで記者団にこれらの選択肢について問われると「われわれが調停役になれることを期待する」と語った。

トルコについては、米国は「おそらく制裁や資金面などで極めて厳しい措置を講じる」としたが、詳細については触れなかった。

米国は2014年以来、過激派組織「イスラム国(IS)」掃討でSDFと協力。SDFは数千人のIS戦闘員とその親族数万人の身柄を拘束している。

混乱に乗じてこうしたIS戦闘員が逃げ出す恐れがあると指摘される中、米国務省高官は10日の記者会見で、SDFは引き続き拘束した全員を管理下に置いていると説明した。

また高官は、米国は捕虜となったIS戦闘員に関する責任をトルコが負うというハイレベルのコミットメントを同国から取り付けているが、詳細の協議はまだ行っていないと述べた。

米国では、共和党内からもトランプ大統領がIS掃討の忠実なパートナーを見捨てたと非難する声が上がるが、同高官はトランプ政権はトルコに明白に警告したと述べ、反論した。

トランプ氏は先に、トルコの攻撃は「悪い考えだ」とし、支持しない姿勢を表明。「双方」と対話していると明らかにしている。

国際救援委員会(IRC)によると、トルコによる攻撃開始以来、シリアから6万4000人が避難。シリア北東部のトルコ国境沿いのラスアルアインとダルバーシーイェからは住民がほぼ完全に退避したことを明らかにした。

シリア人権監視団によると、トルコ軍はラスアルアイン近くの村落2つと、テルアビヤド近くの村落5つを掌握した。

トルコ軍の戦闘機はシリア領空内最大30キロ(18マイル)まで飛来。トルコ外相はこれ以上内部までは戦闘機は飛行しないとしている。ロイターの記者はテルアビヤドの近くで爆撃が行われるのを目撃した。

トルコ国防省によると、アカル国防相は10日遅く、フランス、英国、米国の国防相と電話で協議。エスパー米国防長官とは安全保障問題を協議し、アカル氏はシリア攻撃の目的と状況を説明したという。


20191015issue_cover200.jpg ※10月15日号(10月8日発売)は、「嫌韓の心理学」特集。日本で「嫌韓(けんかん)」がよりありふれた光景になりつつあるが、なぜ、いつから、どんな人が韓国を嫌いになったのか? 「韓国ヘイト」を叫ぶ人たちの心の中を、社会心理学とメディア空間の両面から解き明かそうと試みました。執筆:荻上チキ・高 史明/石戸 諭/古谷経衡

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「国連は存続すべき」、ガザ評議会が代替と

ビジネス

米国株式市場=大幅続落、ダウ870ドル安 グリーン

ビジネス

ネットフリックス、第4四半期売上高が予想上回る 契

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、グリーンランド問題で「米国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 2
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 3
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 4
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生…
  • 5
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 10
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中