最新記事

災害

台風19号、東日本直撃し各地で氾濫被害 千曲川は堤防決壊

2019年10月13日(日)15時52分

10月13日、多摩川に近い住宅街で逃げ遅れた人がいないか確認する救助隊。神奈川県川崎市で撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

記録的な大雨をもたらした台風19号の影響で、東日本各地の川が氾濫し、浸水被害が広がっている。長野県では千曲川の堤防が決壊、都心を流れる多摩川も水が堤防を越えた。NHKによると、台風による死者は18人、行方不明者は13人にのぼる。台風は13日正午、温帯低気圧に変わった。

国土交通省によると、9つの河川で堤防が決壊、14の河川で氾濫が発生した。長野県上田市の千曲川は堤防が70メートルにわたって決壊し、広い範囲で住宅街に水が流れ込んだ。警察や消防、自衛隊が、住宅から動けなくなった住民の救助活動に当たっている。福島県の阿武隈川流域でも被害が拡大、東京と神奈川の境を流れる多摩川も氾濫した。

NHKによると、この台風の影響でこれまでに18人が死亡、13人の行方が分からなくなっている。消防庁が午後1時までにまとめた集計は、死者8人、行方不明者9人、負傷者145人としている。

経済産業省によると、13日正午時点で約26万戸が停電。各地で断水も発生している。

千葉県市原市では竜巻とみられる突風で車が横転し、50代の男性が死亡。NHKによると、神奈川県川崎市ではマンションの1階部分が浸水して男性1人が、群馬県富岡市では裏山が崩れて1人が死亡した。また、土砂崩れで心肺停止状態だった神奈川県相模原の女性1人も死亡が確認された。

NHKによると、東北や関東甲信越などでは今回の雨量が年間降水量の3割から4割に達した。気象庁は12日午後3時半、数十年に一度の大雨が予想されるとして、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県に大雨特別警報を発表。その後に茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県に警報を拡大した。5つある警戒レベルの最も高い段階に相当する。

気象庁は1958年に神奈川県に上陸し、伊豆半島と関東地方で土砂災害と河川の氾濫が多発した狩野川台風に匹敵する大雨になる恐れがあるとして警戒を呼びかけていた。

太平洋に抜けた台風は13日正午、温帯低気圧に変わった。気象庁は大雨特別警報をすべて解除した。

岩手県釜石市で13日に予定されていたラグビーワールドカップ(W杯)のナミビア対カナダ戦は中止が決定した。同日午後に神奈川県横浜市で予定されている日本対スコットランド戦は実施が決まった。

*情報を更新しました。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

パナソニックHDが今期中に1万人削減、グループの業

ワールド

インド、パキスタンによる国境全域での攻撃発表 パキ

ビジネス

日経平均は続伸、米英貿易合意や円安を好感 TOPI

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 市場予想比
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中