最新記事

香港デモ

香港デモ、警察の実弾発砲で18歳男子学生が撃たれ搬送 負傷者も多数

2019年10月2日(水)05時47分

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストやテレビ報道によると、香港のデモ隊に向けて警察が実弾を発射し、少なくとも1人が胸を撃たれた。写真は香港の沙田地区で、デモ参加者を拘束する警官(2019年 ロイター/Jorge Silva)

中国建国70周年に当たる1日、香港で展開された反政府デモとの衝突で警察が実弾を発砲し、デモ参加者が負傷した。約4カ月にわたる抗議運動で、実弾による負傷者が出たのは初めて。

警察によると、18歳の男性が新界地区荃湾付近で肩を撃たれたという。これまではゴム弾などが使用されていたほか、空に向かって威嚇射撃が行われることはあった。

警察は声明で「九龍、香港島、新界地区で暴動が起きている」と説明。「大規模なデモ隊が荃湾で警官を攻撃した」とし、「警官は警告したが攻撃が続いたため、警官らの命を守るために発砲した」とした。

また、ステファン・ロー警察長官は、警官が3カ所で実弾を発射したが、合法で適切な行動だったと指摘。記者団に「警官の生命が深刻な脅威にさらされ、このため実弾を使用した」と述べ、負傷者は病院に搬送され、意識はあると話した。

現場の様子を撮影した映像によると、鉄パイプを手にしたデモ隊が機動隊と衝突し、その後、警官が至近距離から発砲した。

ラーブ英外相は、デモ隊への実弾使用を非難し、「暴力は正当化できないが、実弾使用は不釣り合いで、状況悪化のリスクが増すだけだ」と述べた。

この日、数千人が香港各地で警察の許可なくデモを展開し、警察と衝突。デモ隊は火炎瓶を放ち、警察は催涙弾や放水車で対応する事態に発展した。衝突では少なくとも31人が負傷し、2人が重体という。

市内中心部ではバリケードが張られ、多くの店舗が休業、機動隊が多数配備されたほか、地下鉄を運営する香港鉄路(MTR)は一部の駅を封鎖した。

*内容を追加しました。

[香港 1日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191008issue_cover200.jpg
※10月8日号(10月1日発売)は、「消費増税からマネーを守る 経済超入門」特集。消費税率アップで経済は悪化する? 年金減額で未来の暮らしはどうなる? 賃貸、分譲、戸建て......住宅に正解はある? 投資はそもそも万人がすべきもの? キャッシュレスはどう利用するのが正しい? 増税の今だからこそ知っておきたい経済知識を得られる特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中