最新記事

航空

ユナイテッド航空がパイロットの勤務前「断酒時間」を4時間延長

NEW ‘BOTTLE-TO-THROTTLE’ RULE

2019年8月20日(火)19時20分
スコット・マクドナルド

パイロットだって酒は飲むが…… AMBROZINIO/SHUTTERSTOCK

<搭乗直前の検査でパイロット2人からアルコールが検出されたことを受け、断酒規則を厳格化>

米ユナイテッド航空は、同社のパイロットが勤務に就く前の「断酒時間」を4時間延長すると発表した。

「ボトルからスロットルへ」と呼ばれるこの新しい規定では、パイロットは勤務開始の少なくとも12時間前までに飲酒をやめなければならない。

従来の規定では「8時間前」とされており、それは米連邦航空局(FAA)の基準に従うものだった。

4時間の前倒しは、同社のパイロット2人が8月3日にスコットランドでアメリカ行きの便に搭乗する直前の検査でアルコールを検出され、逮捕されたことがきっかけだ。ユナイテッド航空は10日から新規則を適用。規則厳格化の理由を、同社が運航している世界各国の基準に合わせるためとしている。

FAAの規則では、パイロットの血中アルコール濃度(BAC)が0.04%以上だと操縦できないことになっている。ただしパイロット本人がしらふのつもりでも、そしてBACがFAAの基準値未満であっても、問題が起きないとは限らない。ユナイテッド航空が運航している一部の国では、パイロットの勤務前にBACがゼロであることを求めているからだ。

ユナイテッド航空は、断酒時間を4時間延長することでパイロットの体内からアルコールが抜け、頭をはっきりさせる時間を確保できると考えている。通常、アルコールを摂取しなければBACは1時間ごとに約0.015%下がる。深酒でBACが0.12%に達しても8時間でゼロになり、泥酔してBACが0.18%に上がっても12時間あればゼロになる計算だ。

なお同社のパイロットを代表する操縦士協会によれば、勤務前のパイロットが過度の飲酒をすることはまれであり、高い職業意識によって空の旅の安全は確保されているという。アメリカの他の航空会社は、勤務8時間前からの断酒という現行ルールの変更を検討していない。

<本誌2019年8月27日号掲載>

【関連記事】ボーイング最新鋭機はなぜ落ちたのか
【関連記事】コーヒー、アルコール、喫煙、肥満......脳によくないのはどれ?

20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。


ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

PayPay、米ナスダックに新規上場申請 時価総額

ワールド

トランプ氏、ベネズエラと「並外れた」関係 石油富豪

ワールド

トランプ氏のイラン合意状況整備に期待、軍事行動回避

ワールド

ロシア、米との経済協力分野選定 ウクライナ戦争後見
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 3
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の定説に挑む、3人の日本人科学者と外科医
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 6
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    エプスタイン疑惑の深層に横たわる2つの問題
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中