最新記事

事件

母の遺体は陸軍に売られ、爆破実験に使われた

Mother's Body Blown Up in Military's 'Blast Testing' Experiment

2019年8月1日(木)15時00分
イワン・パーマー

医学の進歩に役立ててもらうために献体したのに DenBoma/iStock.

<営利目的で遺体を切り売りしていた会社には、恐ろしい光景が広がっていた>

今から5年前、人体の切り売りで利益を上げていたアリゾナ州の献体センターが摘発された。米連邦捜査局(FBI)が捜査に入ると、男性の体に女性の頭が縫い付けられた「フランケンシュタイン」さながらの遺体も発見された。

アリゾナ州マイコパ郡の「バイオロジカル・リソース・センター(BRC)」に74歳で死去した母親の遺体を預けたとき、ジム・スタウファーはただ、人の命を救う役に立つことを願っていた。

2013年に献体した後、母親のドリス・スタウファーがどんな運命を辿ったかを知ったのは、2016年にロイター通信がBRCの実態を暴いたときだった。母親の遺体は陸軍に売却され、爆弾による損傷実験に使われたのだ。

<参考記事>介護施設で寝たきりの女性を妊娠させた看護師の男を逮捕

スタウファーは最近、アリゾナの地方テレビ局「ABC 15」の取材に対してこう語っている。「母の遺体はおそらく、椅子のようなものに固定された。そして、遺体の下で爆弾を爆発させた。要するに、車両が道路に仕掛けた即席爆破装置(IED)の攻撃を受けたとき、人間の体がどうなるかを知りたかったわけだ」

「(遺体を預けた際に)記入した同意書には、爆発を伴う医学実験に同意するか否かというチェック項目があった。私は『同意しない』にチェックを入れたのに」

爆弾に汚された思い出

ロイターによれば、BRCに提供された遺体のうち、少なくとも20体が、家族の同意がないまま、爆破実験に使うため陸軍に売却されたという。売却額は1体5893ドル前後だった。

スタウファーは今もその実験のイメージに悩まされている。母親を思い出すときも、写真を見るときも、常にその爆発が付きまとうのだ。

<参考記事>「人肉は食べ飽きた」と自首した男と、とんでもない「仲間」たち

BRCはとうに事業をやめている。献体された遺体を営利目的で販売していると告発を受けて2014年に強制捜査に入ったFBIの捜査官たちは、恐ろしい光景を目にした。バラバラにされ折り重ねられた人間の四肢や頭部、男性器を詰め込んだクーラーボックスなどだ。

BRCの所有者スティーブン・ゴアは2015年、有罪を認め、今は保護観察下に置かれている。

(翻訳:ガリレオ)

20190806issue_cover200.jpg
※8月6日号(7月30日発売)は、「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集。ボリス・ジョンソンとは何者か。奇行と暴言と変な髪型で有名なこの英新首相は、どれだけ危険なのか。合意なきEU離脱の不確実性とリスク。日本企業には好機になるかもしれない。


ニューズウィーク日本版 ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月24号(2月17日発売)は「ウクライナ戦争4年 苦境のロシア」特集。帰還兵の暴力、止まらないインフレ。国民は疲弊し、プーチンの足元も揺らぐ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ハンガリー関係は「黄金時代」とルビオ氏、選挙控え

ビジネス

独VW、28年末までにコスト20%削減を計画=独誌

ワールド

英首相、国防費増額の加速必要 3%目標前倒し検討と

ワールド

ロシア、和平協議で領土問題含む主要議題協議へ=大統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中