最新記事

サッカー

女子W杯優勝の米代表「もの言うFW」、男子選手と同じ賞金を求めて吠える

Rapinoe Says Women's Soccer Can't Do More To Prove They Deserve Equal Pay

2019年7月9日(火)15時35分
ドニカ・ファイファー

闘士 女子サッカーを二級市民のように扱うFIFAが許せないラピノー Denis Balibouse-REUTERS

<LGBTでヌードも披露して、「ホワイトハウスなんかくそくらえ」とトランプに反抗もして見せたラピノーだが、男性社会にとっていちばん脅威なのは「男女同一賃金」を求める訴えかもしれない>

サッカー女子ワールドカップ(W杯)フランス大会でオランダを完封し連覇を達成したアメリカ代表。同チームのスター選手で、何かと話題が多いミーガン・ラピノーが改めて、サッカー選手の男女賃金格差の是正を訴えた。

<参考記事>同性愛を公言、ヌードも披露 女子サッカー米代表のミーガン・ラピノー

この投稿をInstagramで見る

Re--Swimsuit Model. : @wattsupphoto #SISWIM @si_swimsuit ON. SALE. NOW.

Megan Rapinoeさん(@mrapinoe)がシェアした投稿 -

同大会において、出場時間428分の中で通算6ゴール3アシストを記録して「ゴールデンブーツ賞」に輝いたラピノーはこれまでも、選手の賃金とFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップでの賞金に男女格差があると声を上げてきた。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は7月5日に、2023年の女子ワールドカップにおける賞金額を2019年の3000万ドルから2倍の6000万ドルに増額し、出場枠についても現在の24から32に増やすと発表した。だがその前年の2022年に開催される男子のワールドカップの賞金は、2019年から4000万ドル増額の4億4000万ドル。ラピノーは翌6日の会見で、インファンティーノを強く非難した。

「明らかに不公平だ。今2倍にして、次回はその数字を2倍か4倍にすべきだ。私が『敬意を感じられない』と言っているのは、そういうところだ」――ラピノーはオランダとの決勝戦の前日に行われた会見でこう語った。

問題は「配慮のレベル」だ

ラピノーはまた、2023年女子ワールドカップの決勝戦と同じ日に、男子サッカーのゴールドカップ(北中米カリブ海選手権)とコパ・アメリカ(南米選手権)の2つの大会の決勝戦が行われることについても、FIFAを厳しく批判した。

「格差問題を本当に気にかけているなら、それを拡大させるようなことをするだろうか。同じ日に3つの大会の決勝戦を開催するだろうか。そんなはずがない。私が言っているのは、配慮のレベルだ。女子サッカーの試合に細心の配慮を行って、その成長を手助けしていく気があるのか」とラピノーは語り、同日に3つの決勝戦を行うというスケジュール設定を「ひどい決定」吐き捨てた。

今回の女子ワールドカップでは、決勝戦後の表彰式でインファンティーノとフランスのエマニュエル・マクロン大統領がピッチに姿を見せると、客席からブーイングと「イコール・ペイ(同一賃金)」というコールが湧き起こった。

試合後の会見でこれについて質問を受けたラピノーは、「私も同じ思いだ」と語り、FIFAは賃金格差に関する議論を前に進めるべきだと主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止 働き手不

ワールド

米連邦最高裁、中立でないとの回答58%=ロイター/

ワールド

イスラエル・イラン攻撃応酬で原油高騰、身構える投資

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中