最新記事

中国経済

中国経済6.2%をどう見るか:中国側の見解

2019年7月17日(水)18時40分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

霧に霞む建設中の高層ビル群。手前は団地(2019年2月、中国・天津郊外) Jason Lee-REUTERS

7月15日、中国の国家統計局の発表によれば、中国の2019年4~6月期の実質成長率は6.2%と1992年の統計開始以来、最低だった。この数値をどう見ているか、中国の経済学者、政府元高官、若者などに聞いた。

国家統計局:6.2%成長に対する消費市場の貢献度は60.1%

7月15日、中国の国家統計局は、2019年4~6月期の経済成長率などに関して発表した。それによれば、GDPの実質成長率は前年同期比6.2%で、2008年のリーマンショック直後の2009年1月~3月期の成長率6.4%を下回っており、日本では「中国経済が危ない」として、大きな注目を浴びている。

しかし中国国家統計局の毛盛勇報道官は、これは今年3月の全人代(全国人民代表大会)で李克強首相が発表した成長目標「6.0%~6.5%」の範囲内に収まっており、非常に穏当な成長を遂げていると述べた。また、経済規模が大きい先進諸国の中に、6%台の成長を保っている国はなく、その意味では中国はトップを走っていると胸を張った。

特に社会消費・小売りに関しては、2019年上半期で195210億元となり、同期名目成長率の8.4%増であるとのこと。そのうち、6月の社会消費・小売り総額は33878億元で、同時期の9.8%増であるという。

何よりもGDP6.2%成長に対する消費・小売り成長額の貢献度は60.1%に上ると強調しており、そのことに中国が大きな自信を示しているのが見て取れる。

毛盛勇報道官は、その原因の一つとして、自動車の国家標準を「国5」から「国6」に切り替えたことを挙げている。これは「軽型自動車」の排ガス基準のことで、これまでの「国5」はヨーロッパの排ガス基準をベースにしてきたが、2016年末に中国独自の基準を設定した。「国6」では排出規制値を40~50%厳しくしたほか、それまで分けていたガソリン車とディーゼル車の規制値を統一している。この切り替えに当たってさまざまな優遇策を設けたために6月の消費量を押し上げた。

二番目の理由としては「6・18消費促進活動」により、6月はネットユーザーの消費を刺激する特徴を持っている。

「6・18消費促進活動」とは、1998年6月18日に創立された京東(Jing-Dong)商城にちなんで、2010年6月18日から「ネット上の大安売り」を始めたことを指す。これに刺激されて、ネット販売が盛んになり、他のサイトのネット販売も「6・18」に合わせて大安売りをする。結果、以下のような「社会消費・小売り総額月別同期比成長率」のデータが出てきたわけだ。これは国家統計局が発表したものである。

endo20190717165102.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金利上昇の影響を主体別に分析、金融機関は「耐性が改

ビジネス

中国人民銀行、与信の「一方的な」拡大けん制 量より

ビジネス

バリューアクト、セブン&アイ取締役候補者に賛成票投

ビジネス

欧州は中国から産業利益守るべき=仏財務相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中