最新記事

宗教離れ

日本の無神論者は最も「超自然を信じない」──6カ国での大規模調査

2019年6月7日(金)18時20分
松丸さとみ

超自然を信じない日本、オープンな中国...... D-Keine-iStock

<「無神論者」と「不可知論者」について世界6カ国で行われた調査で、日本の無神論者の場合はこうした「超自然」を信じる人が群を抜いて少なかった......>

宗教離れの実態調査プロジェクト

「無神論者」と「不可知論者」について深く知るために世界6カ国で行われた大規模な調査で、神の存在を信じていない、または証明できない、と思っている人たちも、現代科学では証明できない「超自然」的な出来事を信じる人が意外と多いことが分かった。ただし、日本の無神論者の場合はこうした「超自然」を信じる人が群を抜いて少なかった。

調査は、英国の大学で教える心理学者、社会学者、文化人類学者のチームが2017〜2020年の計画で取り組む「不信仰への理解」という調査プロジェクトの一環だ。宗教離れが近年、世界的に広がる中、世界のさまざまな文化から洞察を得る目的で、ブラジル、中国、デンマーク、日本、英国、米国の6カ国で、1カ国あたり1100人を対象に行われた。

「無神論者」は「神などいない」と考えている人で、「不可知論者」とは「神がいるかどうかは証明できない」と考えている人だ。

無神論者・不可知論者といえど、特定の宗教に属しているという人たちも少なくなく、6カ国のうち「無宗教」「不明」以外に特定の宗教としてキリスト教を挙げた人が最も多く(デンマーク28%、ブラジル18%、英国15%など)、日本人は仏教と答えた人が最も多かった(8%)。

また、どの宗教で育てられたか、という質問でも、ブラジル(79%)、米国(63%)、デンマーク(60%)でキリスト教が最も多かった。日本では無宗教(70%)、不明(14%)と答えた人が最も多かったが、特定の宗教の中では仏教(13%)が最も多かった。無宗教で育てられた人の割合が最も高かったのは中国の82%。

超自然を信じない日本、オープンな中国

興味深いのが、死後の世界や生まれ変わり、カルマや占星術といった「超自然的な現象を信じるか」との問いに対して、無神論者の中で「すごく信じる」「やや信じる」と答えた人の割合が、日本は他の5カ国と比べかなり少なかったという点だ(ここには不可知論者は含まれない)。なかでも、日本の文化に深く浸透している仏教的な考え方ともいえる「生まれ変わり」と「カルマ」については、これを信じる日本の無神論者の割合は、ブラジルやデンマーク、米国といったキリスト教の影響が強い国よりも少なかった。報告書は、無神論者のうち「超自然的なこと」を最も信じないのは日本人、最も信じるのはブラジル人と中国人としている。中国では、占星術を信じる無神論者は半数以上に達した。

日本の無神論者・不可知論者が最も多く「信じる」と答えた「超自然的な現象」は、「人生における重要な出来事は、『起こるべくして起こる』または『理由があって起こる』」だった(無神論者20%強、不可知論者30%強)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中