最新記事

ファーウェイ

ポンペオの「Huaweiは嘘つき」発言を検証する

2019年5月25日(土)19時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

アメリカのポンペオ国務長官 Pavel Golovkin/REUTERS

ポンペオ米国務長官は23日、米CNBCのインタビューで「Huaweiは嘘つき」と発言したと日本では報道されている。何を根拠に断言したのか、CNBCの英語の報道を検証したところ、思わぬ事実が見えてきた。

ワシントン共同通信の報道

 先ず、日本の多くのメディアが使用している日本の共同通信社のワシントン支局が発信した報道を、そのままここに書く。

【ワシントン共同】ポンペオ米国務長官は23日、米CNBCテレビのインタビューで、中国と主導権を争う高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムを巡り、米国が排除を目指している中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が「中国政府と連携していないと、うそをついている」と批判した。

これに先立ち中国の崔天凱駐米大使は21日、FOXニュースの番組で、ファーウェイは「ただの民間企業」と強調し、米政府の対応が「貿易の自由な流れを妨げている」と批判しており、ポンペオ氏は崔氏の批判に反論した形だ。

この同じ文章は、たとえば毎日新聞をはじめ、多くの日本のメディアが共同通信のニュースとして報道しているので、日本人の多くの方がご覧になっておられるだろう。

普通なら、「ああ、なるほど、そうなのか......」と通り過ぎてしまうところかもしれない。しかし、「ほう、Huaweiは嘘つきなのか」という感想を持つ方もおられれば、「へぇ、ポンペオはHuaweiを嘘つきだと思っているんだ」という感想以外に、「ポンペオは何を根拠に『Huaweiは嘘つき』と言ったのだろうか」、「そのとき何か根拠を示したのだろうか」という興味を抱き、原文を見てみたくなる人もいるにちがいない。

CNBCの原文

 筆者は、その「原文を見たくなる者」の一人だ。
 そこで原文を見てみることにした。
 読者と共にたどってみよう。

 アメリカのCNBCのNews Releasesの中に、現地時間5月23日付のCNBC Transcript: United States Secretary of State Mike Pompeo Speaks with CNBC's "Squawk Box"

というのがある。インタビューの全記録が書いてある。このページにANDREW ROSS SORKINという記者がポンペオ国務長官(MIKE POMPEO)に尋ねている以下の文章があるのを見つけた。会話以外は筆者の解説。

ANDREW ROSS SORKIN: Mr. Secretary, I don't want to diminish the potential risk, can you help usーー is there evidence that we can point to specifically today to suggest that there was spyware or other kinds of spying taking place using Huawei hardware?(アンドリュー・ロス・ソーキン: 国務長官、私は潜在的なリスクを減らすことに興味はありません。教えていただきたいのですが――Huaweiがハードウェアを利用して、スパイソフトや何かスパイ行為を行うことを明確に示唆する証拠を今日は提供できますか?)

MIKE POMPEO: Yeah. That's the wrong question, Andrew. If you put your information, your information, in the hands of the Chinese Communist Party, it's de facto a real risk to you. They may not use it today. They may not use it tomorrow.(マイク・ポンペオ:うーん、そうだね。それは間違った質問だよ、アンドリュー。もしあなたが自分の情報を、つまり自分の情報をだね、中国共産党に渡すのは、あなたにとって実際上、凄まじいリスクを伴う行為になるわけだよ。彼等(中国共産党)は、今日は利用しないかもしれない。明日も利用しないかもしれない。)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中