最新記事

BOOKS

妻より夫が極悪非道 新たな暴露本が明かすトランプの娘夫妻の正体

Juicy But Nauseating

2019年4月22日(月)18時10分
ルース・グラハム(ジャーナリスト)

夕食会でイバンカの隣に座った別の情報源によると、彼女は「リバタリアン」と「リベラル」は同じだと主張した。その人が調べてみようと提案すると、イバンカはこう返した。「検討しておきます」

ウォードの本当の標的はクシュナーだ。「イバンカの振る舞いは腹立たしいが、クシュナーはレベルが全く違うことをしていた」のだから。

マンハッタン5番街の高層ビルをめぐる疑わしい契約や、自分が所有する週刊紙ニューヨーク・オブザーバーを大統領選の選挙運動に利用した不誠実さは、言うまでもない。

爆竹を他人に渡すタイプ

それ以上に問題なのは、クシュナーがホワイトハウスとメキシコやイスラエル、カタールとの関係に余計な干渉をして混乱させたことだ。イバンカの見苦しい自己宣伝と違ってクシュナーの腐敗は極めて始末が悪く、安全保障に危険をもたらした。

ウォードの主張の中で充実している内容の多くは、ニューヨーク・タイムズやバニティ・フェア、ニューヨーカー誌などの報道を基にしている。このアプローチは有用だろう。

クシュナーの無秩序に広がる複雑なスキャンダルは、何カ月もかけて活字媒体に少しずつ漏れ出てくる。それらの報道を1つにまとめて要約することは、内容に目新しさはなくても、状況が整理されるからだ。

スティーブ・バノン前大統領首席戦略官・上級顧問やレックス・ティラーソン前国務長官に近い複数の情報提供者から仕入れた話もある。ティラーソンが、サウジアラビアやカタールとアメリカの微妙な関係にクシュナーが干渉して国を危険にさらしたと苦言を呈すると、クシュナーは憤慨して部屋を出て行った。クシュナーは「爆竹に火を付けて、爆発しそうだと思ったら他人に渡すタイプの人間だ」と、ある人物は語る。

昨年ベストセラーになったマイケル・ウォルフの『炎と怒り』(邦訳・早川書房)のように、『クシュナー株式会社』は読者が望んでいるものを提供する。ただし、この手の本は夢中になって読んでも、決して読み返そうとは思わないもの。こういう痛快な話には賞味期限があって、後で胸やけさえ覚えるかもしれない。

それでも無性に読みたくなってしまうのだが。

magw190422-ivanka-cover200.jpgKushner, Inc.: Greed. Ambition. Corruption. The Extraordinary Story of Jared Kushner and Ivanka Trump
『クシュナー株式会社――強欲、野心、腐敗』
 ビッキー・ウォード 著

<2019年4月16日号掲載>

20190416cover-200.jpg

※4月16日号は「世界が見た『令和』」特集。新たな日本の針路を、世界はこう予測する。令和ニッポンに寄せられる期待と不安は――。寄稿:キャロル・グラック(コロンビア大学教授)、パックン(芸人)、ミンシン・ペイ(在米中国人学者)、ピーター・タスカ(評論家)、グレン・カール(元CIA工作員)。


ニューズウィーク日本版 総力特集:ベネズエラ攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月20号(1月14日発売)は「総力特集:ベネズエラ攻撃」特集。深夜の精密攻撃で反撃を無力化しマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ大統領の本当の狙いは?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、サウジなどに米の攻撃制止要請か 米軍基地攻

ワールド

トランプ氏のグリーンランド獲得計画、米国民の支持1

ワールド

通常国会の早期に解散、高市首相が自民・維新に伝達 

ワールド

カタール米軍基地、一部要員に退去勧告=外交筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中