最新記事

エアライン

航空会社のリクライニング制限は、乗客の敵か味方か

Airlines Eliminating Reclining Seats

2019年4月17日(水)16時30分
ダニエル・アベリー

リクライニングシートは乗客同士のトラブルの元 Mike Blake-REUTERS

<狭い飛行機で座席の背もたれを倒すのは無礼か否か。航空業界長年の論争に終止符が打たれるときがきた?>

米デルタ航空は、新たに導入する航空機の一部で、座席のリクライニング角度を制限すると発表した。デルタ航空のエアバスA320の乗客は、これまで約10センチ座席を倒すことができたが、今後は約5センチになる。ファーストクラスのリクライニングも、これまでの約14センチから約9センチに縮小される。

もっと座席を詰め込むのが狙い? いや、乗客の「パーソナルスペース」を確保することだと、デルタ航空は説明する。

「素晴らしいアイデアだと思う」と語るのは、ジョニージェット・ドット・コムを運営する旅行エキスパート、ジョニー・ディスカラだ。「航空各社は前後の座席の間隔をもっと広げるべきだ。そうでなければ、リクライニング自体をなくすべきだろう。機内で起きる言い争いのほとんどは、背もたれを倒す角度が原因になっているのだから」

ほかの航空会社もデルタの後に続くだろうとディスカラは予想する。

乗客に残された最後の特権?

格安航空会社のなかには、すでにリクライニング機能を廃止しているところもある。スピリット航空(米)、イージージェット(英)、ライアンエアー(アイルランド)などだ。ナショナルフラッグ・キャリアにも同様の動きはある。2018年にはブリティッシュ・エアウェイズが、新たに導入する35機のエアバスA320neoおよびA321neoで、背もたれを少し後ろに傾けた状態で固定すると発表した。「機内の全員が快適な旅を楽しめるようにするため」だ。日本ではピーチ・アビエーションが同様の「プレリクライニング・シート」を導入している。

座席のリクライニングは、ますます窮屈になる航空機の乗客に残された数少ない特権のひとつのようにも思えるが、使い方を誤ると、リラックスどころかかえってストレスが増える。前の座席の乗客が急に背もたれを倒してきて、「飲み物がこぼれたり、ノートパソコンがあやうく壊れそうになったりしているのを見たことがある」とディスカラは話す。「ファーストクラスでさえ、問題が起こる」

今回デルタ航空の変更の対象となるのは62機(デルタ航空が所有する全航空機の10%未満)で、そのほとんどは短距離の路線だ。現在のところ、国際線の座席に変更を加える計画はない。

座席のリクライニングが失礼な行為であるかどうかについては、長らく議論の的になってきた。トリップアドバイザーのあるフォーラムでは、それについてさまざまな反応が寄せられた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

WHOテヘラン事務所近くで攻撃、職員に負傷者なし=

ビジネス

ユニリーバ食品事業、マコーミックと統合合意 650

ワールド

米企業標的に報復攻撃へ、イランの革命防衛隊が表明 

ワールド

中国・パキスタンが外相会談、中東巡る早期の和平協議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 8
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 9
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中