最新記事

マレーシア

マレーシアの若者たちに「日本人を見習おう」 マハティール首相、ルックイースト再び

2019年3月17日(日)19時59分
大塚智彦(PanAsiaNews)

マレーシアのマハティール首相が「日本人の目標を達成するために努力する姿勢、成功に向かう価値観などを見習うべきだ」とマレーシアの若者に呼びかけた。写真は昨年11月のAPEC 首脳会議で演説するマハティール首相 REUTERS

<かつて「ルックイースト」と呼びかけ日本人の勤勉さをたたえた男が、今度は日本とアイスランドを目標に掲げた>

マレーシアのマハティール首相が「日本人の目標を達成するために努力する姿勢、成功に向かう価値観などを見習うべきだ」とマレーシアの若者に呼びかけた。

マハティール首相は1981年に首相に就任した後、日本や韓国などに学ぶ「ルック・イースト政策(東方政策)」を提唱して、特に日本人の価値観、倫理、道徳などの精神面を学ぶことで自国の産業発展、人材育成に積極的に取り組んできたことで知られている。

2018年5月に野党を率いてマレーシア史上初の政権交代を実現して首相の座に返り咲いたマハティール首相は「腐敗している」として打倒を目指したナジブ前政権の数々の路線を転換して「真にマレーシア人のための政治」を着々と実現している。

そんななか、3月16日に「プトラジャヤ国際コンベンションセンター」で開催された「求められる連邦領での理想的若者像」という会合で演説したマハティール首相が「日本人の数ある価値観の中でも責任を果たせなかった時に恥ずかしいと感じること」を特に取り上げて説明したと国営ベルナマ通信が伝えた。

そのうえで「この日本人の"恥ずかしい""忸怩たる思い"というものが第2次世界大戦で未曾有の敗戦、困難に直面した日本を世界有数の経済大国に発展させる原動力となった」とマハティール首相は強調したという。

この日の会合にはマハティール首相のほかにカリド・サマド連邦直轄領大臣、リナ・ハルン地域開発大臣なども出席し、マレーシアの次代を担う若者にマレーシア人としてあるべき姿、理想像をこれまでの長い政治経験に基づいて切々と説いた。

そしてマレーシア政府は1981年にマハティール首相自身が提唱、導入した「ルック・イースト政策」を現在再度実践することに努めており、こうした日本人の「尊い価値観」をマレーシア人は見習い、実行してほしいと繰り返し求めた。

若者は日本人の価値観を見習うべき

「物事に失敗した時に恥ずかしい、忸怩たる思いだと感じることは日本人の中に染みこんでいる。そして期待や信頼に応えるためにさらに一生懸命の努力を重ねる。こうした美徳を(マレーシア人が)見習うことこそが成功への道である」とマハティール首相は会合に集まった若者に対して力説した。

そのうえで「"恥ずかしい""忸怩たる思い"という気持ちはなにも試験に失敗した時だけではなく、社会に否定的な影響を与える予期せざる出来事に遭遇した時も同じである」として、そこに留まらず、それをバネにしてさらなる努力を重ねることの重要性を訴えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米、高金利で住宅不況も FRBは利下げ加速を=財務

ワールド

OPECプラス有志国、1─3月に増産停止へ 供給過

ワールド

核爆発伴う実験、現時点で計画せず=米エネルギー長官

ワールド

アングル:現実路線に転じる英右派「リフォームUK」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中