最新記事

無人機

「徘徊型」自爆ドローンがもたらすもっと危険な暗殺戦争

Suicide Drones: Are Loitering Missiles War's Future?

2019年2月25日(月)18時00分
デービッド・ブレナン

イスラエル航空宇宙産業の無人攻撃機ハロップ(写真の手前、シンガポールで2012年に開催された航空ショーにて) Tim Chong- REUTERS

<標的の近くを長時間飛び回り、チャンスを見計らって特攻する超小型の無人兵器──それは、これまでとはまったく異なる戦争を意味し、世界中の軍や武装集団が熱い視線を注いでいる>

2016年4月、アルメニアとアゼルバイジャンの30年に及ぶ領土紛争の舞台ナゴルノ・カラバフ共和国で、アルメニアの軍用輸送車がアゼルバイジャン国境の近くを走っていた。

車中の兵士たちは知らなかったが、イスラエル製のハロップという「自爆ドローン」が、車に攻撃をかける瞬間をねらって、ゆっくりと上空を旋回していた。ドローンが車に突っ込んだとき、7人の兵士は何に攻撃されたのかもわからないまま死亡していた。

アルメニアとアゼルバイジャンの対立は、国際的に大きく報道されるようなニュースにはならないが、この事件は、アメリカのような超大国からアゼルバイジャンのような地政学的な小国まで、あらゆる国が使用している無人機(UAV)の広がりと能力の拡大を反映した実例だ。

ドローン技術、特に輸出用に関して、イスラエルの企業は短期間に世界の頂点に立った。偵察用、戦闘用を問わず、世界中の軍、警察および準軍事組織はドローンに熱い視線を注いでいる。なかでも成長著しいのが、いわゆる自爆するドローン、またの名を「徘徊型兵器」で、イスラエルの技術はその最先端をいく。

イスラエルが業界をリード

中国を含む少なくとも9カ国が、イスラエル航空宇宙産業が製造する徘徊型兵器システムであるハーピーまたはハロップのどちらかを運用しているとみられている。この手の兵器の販売ではイスラエルが先頭に立っているようだが、中国、ロシア、アメリカも国内で独自の兵器開発に取り組んでいる。今、世界中の軍と名の付く組織はすべて、こうした兵器を武器庫に備えたがっている。

イスラエルの会社Uビジョンは最近、アメリカで子会社の設立を計画していると報じられた。同社の専門は、搭載した弾頭を投下する前に、数時間にわたって攻撃目標の上空に留まることができる徘徊型の無人兵器だ。

同社が製造する徘徊型兵器にはさまざまな種類がある。たとえば「Hero-30」はキャニスターに入れた状態で兵士が背負って戦場に運び、現場で発射することができる。重量は7ポンド(約3.2キロ)以下で、敵、特に戦略的価値の高い要人を攻撃する場合、従来よりもはるかに確実に標的をしぼることができる。

すでに「コヨーテ」という自社製の徘徊型兵器を製造する米軍需会社レイセオンも、Hero-30の共同開発に取り組むことに同意した。別の米企業エアロバイロンメントはロボット無人攻撃機「スイッチブレード」を開発している。

ニュース速報

ワールド

情報BOX:新型コロナウイルス、世界の感染者118

ワールド

中国治安当局が香港出先機関の事務所開設、繁華街の元

ワールド

第2四半期の豪CPI、保育無償化が大幅な下押し要因

ワールド

豪州、海外からの帰国者の制限検討へ=モリソン首相

MAGAZINE

特集:香港の挽歌

2020-7・14号(7/ 7発売)

国家安全法で香港の自由と繁栄は終わり? 中国の次の狙いと民主派を待つ運命

人気ランキング

  • 1

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは

  • 4

    火星の移住に必要な人数は何人だろうか? 数学モデ…

  • 5

    新型コロナ、血液型によって重症化に差が出るとの研究…

  • 6

    習近平はなぜ香港国家安全維持法を急いだのか?

  • 7

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪…

  • 8

    「県境をまたぐ移動自粛、一律要請の必要ない」 東京…

  • 9

    中国人民解放軍、インドとの国境係争地から撤退開始…

  • 10

    中国が新型コロナウイルスは「アメリカ病」と非難

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 4

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 5

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 6

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 7

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪…

  • 8

    英首相ジョンソン、香港市民の英市民権取得を確約 中…

  • 9

    スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まって…

  • 10

    東京都、3日の新型コロナ新規感染は124人 小池知事「…

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 4

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 5

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求…

  • 6

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 7

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 8

    ポスト安倍レースで石破氏に勢い 二階幹事長が支持…

  • 9

    自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされ…

  • 10

    宇宙に関する「最も恐ろしいこと」は何? 米投稿サ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月