最新記事

テクノロジー

アレクサがまた奇行「里親を殺せ」

Alexa Told Users: "Kill Your Foster Parents"

2018年12月25日(火)16時15分
アリストス・ジョージャウ

人間のような会話を目指すアマゾン・エコーだが Elijah Nouvelage-REUTERS

<AIアシスタントが何かたくらんでいるのか? 勝手に笑い出したり殺人指令を出したりしてアマゾン・エコーのユーザーを震え上がらせている>

アマゾンのスマートスピーカー「アマゾン・エコー」に搭載されているAIアシスタント「アレクサ(Alexa)」が、あるユーザーに「里親を殺せ」と告げたことが明らかになり、物議をかもしている。

ユーザーの詳しい身元は明らかにされていないが、2017年にアレクサがこのように話すのを聞いたという。ユーザーはアマゾンのウェブサイト上のレビューでこの件に触れ、「これまでとはレベルの違う不気味さだ」と製品を酷評したと、12月21日(米国時間)付のロイターの記事は伝えている。

アマゾン社内の匿名の情報源によると、この「里親を殺せ」という発言は、インターネット掲示板レディットの書き込みを、文脈に関係なく読み上げたものらしい。レディットは幅広いトピックを扱うオンラインフォーラムとして知られるが、その中には知り合いには見せられないようなものもある。

アレクサの奇妙な言動はほかにも報告されている。同じロイターの記事では、詳細は不明だが「性行為」に関する話や、犬の排便について語り始めるケースもあったという。

エコーを封印したくなる不気味さ

オンライン小売大手のアマゾンは、アレクサが本物の人間のように自然に会話できるよう機械学習を駆使して開発に努めている。

成功すれば、アレクサ搭載のデバイスはあらゆる家庭のあらゆる場所に置かれるようになり、「グーグルホーム」のようなライバル製品を駆逐できるかもしれない。

だが、その出来はまちまちで、不具合の報告も相次いでいる。

2018年3月には、ユーザーが話しかけてもいないのに、アレクサが突然、不気味に笑い出すという事例が相次いだ。

あるユーザーはツイッターに以下のように書き込んだ。「あれが笑い声だったのかさえ、本当はわからない。ただあれ以来、アマゾン・エコーは電源コードを抜いて、箱の奥の目が触れないところにしまっている」

別のユーザーはこう報告する。「ベッドに入ってうとうとしたところで、エコー・ドット(エコーの小型廉価版デバイス)が、非常にはっきりと、気味の悪い笑い声を上げた」

「僕は今夜のうちに殺されてしまうかもね」と、このユーザーは冗談交じりに書いている。

この一件の後には、アメリカで暮らす夫婦が自宅で交わした会話をエコーが勝手に録音し、その音声ファイルを夫の会社の同僚に送りつけるという有名な事件が起きた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 9

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 10

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中