最新記事

韓国

北朝鮮への対応巡り韓国・文政権内に亀裂? 非核化交渉の妨げに

2018年12月11日(火)18時07分

板挟み

厳しい姿勢を維持するよう米国政府からのプレッシャーを受ける一方で、趙統一担当相は、南北の和解に消極的であるという批判も受けている。

北朝鮮は5月、米韓空軍による合同軍事演習に抗議し、趙統一担当相を中心とする韓国側との会談を中止した。最終的に会談は実施されたが、北朝鮮側の李善権(リー・ソングォン)祖国平和統一委員会(CPRK)委員長は、会談の中止を招くような「重大な状況」をもたらしたとして趙氏をあからさまに非難した。

開城連絡事務所の開所式では、工場オーナーたちが趙氏に対して工業団地の操業再開を強く求め、2016年の閉鎖以来、休止状態にある設備・施設を点検するため現地を訪れたいという要望を統一省が繰り返し却下してきたことに落胆していると訴えた。

開城工業団地内に工場を持つ企業関係者グループをまとめるシン・ハンヨン氏は、「開城訪問は制裁とは何ら関係ないと認めているにもかかわらず、われわれの要請に対して趙統一担当相があまりにも無関心だったことについて不満を表明した」と話す。

趙統一担当相は先日、国会答弁の中で、こうした対応の遅れについて、北朝鮮とのスケジュール調整に問題があったからだと説明。さらに統一省としては国際社会に対し「全般的な状況を説明するための時間が必要だった」と述べた。

峨山政策研究院の申研究員は、制裁の効果を損なうような動きがあれば、韓国企業が罰則を適用されるリスクが生じることになる、と警告する。

韓国規制当局の文書によれば、9月の南北首脳会談後、米財務省高官が韓国銀行7行のコンプライアンス担当者を呼び出し、北朝鮮との金融協力の再開は「米国の政策と整合せず」、各行は国連・米国による金融制裁を遵守しなければならないと警告したという。

統一省次官を昨年まで務めた金炯錫(キム・ヒュンソク)氏は、「最優先事項が北朝鮮の非核化であり、これに関して最大の影響力を持っているのが米国である以上、現実的には、米国の立場を考慮する以外の選択肢はない」と指摘。

「核問題に関して進捗がなければ、南北関係を維持するにあたって、どこかで限界が来る。趙統一担当相もそれは分かっている」と同氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

Hyonhee Shin

[ソウル 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度。本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中東緊迫化、利上げに前向きな意見相次ぐ 基調物価の

ビジネス

午前の日経平均は大幅続落、一時2800円超安 中東

ワールド

インド、ロシア製ミサイルシステムなど250億ドルの

ワールド

再送-全米で反トランプ集会 移民政策やイラン戦争に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中