最新記事

アメリカ政治

トランプの外交政策、民主党の下院奪還でどう変わるか

2018年11月12日(月)09時13分

●カショギ記者死亡事件は対サウジ関係に影響するか

トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館でサウジの記者、ジャマル・カショギ氏が死亡した事件は、サウジのイエメン内戦での行動や人権問題に対する議員たちのいら立ちを募らせた。

民主党率いる下院は、サウジへの武器売却契約を阻止する法案を採決に付したり、同国への民生用原子力協力に関する議会承認を困難にしたり、イエメンでの作戦における米航空機による空中給油や他の支援を阻止する措置を検討したりする可能性がある。

エンゲル議員は、中東においてサウジがイランの影響力に対する「重し」だと認める一方で、米国政府はサウジに対してもっと要求するべきだと主張する。「サウジがわれわれの支援を必要とするなら、われわれが懸念する問題の一部に取り組まなければならない」

●民主党は北朝鮮との和平を望まないのか

民主党は、トランプ大統領とポンペオ国務長官がそれぞれ北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した際の情報をさらに入手する構えだ。トランプ大統領が「素晴らしいディール」を欲するあまり、金委員長に譲歩し過ぎることを懸念している。

エンゲル議員は、北朝鮮との対話の状況を確認するため、政府当局者を召喚する計画だが、民主党は外交や非核化の努力を邪魔していると見られないようぎりぎりのラインを探るだろう。

「北朝鮮と何かしらの対話を行うのは良いことだが、大きな変化が生まれるとわれわれは勘違いしてはいけない」とエンゲル議員は語った。

●民主党は対中政策を変えるか

民主党の下院支配によって、対中政策に大きな変化は起きないとみられる。民主党は公聴会を増やしたり、状況を説明する機会を一段と求めたりするだろうが、中国に対する批判はこれまでのところ超党派によるものであり、対中政策は変わらないとみられる。

下院情報委員会の委員長を務めることになるアダム・シフ氏のような著名な民主党議員は、共和党議員と共に、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)の技術や機器を禁止する国防権限法を成立させるなど、対中強硬姿勢を打ち出している。

しかしエンゲル議員らは、パートナーとしての中国の必要性、とりわけ北朝鮮問題において同国の重要性を認識している。「攻撃し過ぎないよう気をつけなければならない」とエンゲル議員は語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ハマスから人質遺体1体の返還受ける ガ

ワールド

米財務長官、AI半導体「ブラックウェル」対中販売に

ビジネス

米ヤム・ブランズ、ピザハットの売却検討 競争激化で

ワールド

EU、中国と希土類供給巡り協議 一般輸出許可の可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中