最新記事

テクノロジー

【動画】本当に飛んだ、ドバイ警察の「空飛ぶバイク」

Police Begin Flying Motorcycle Training in Dubai

2018年11月9日(金)14時30分
デービッド・ブレナン

空飛ぶバイクの訓練風景 hoversurfofficial/INSTAGRAM

<豪華なスーパーカー部隊を持つアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ警察。「空飛ぶバイク」でパトロールする日も近い?>

中東のアラブ首長国連邦・ドバイの犯罪者はすでに、ドバイ警察の「スーパーカー部隊」に追われる身だが、じきに上空からの追跡にも目を光らせる必要がありそうだ。

米CNNテレビによれば、ドバイ警察は2020年の導入を視野に、「空飛ぶ白バイ」のパイロットの訓練を始めた。

電動垂直離着陸機(eVTOL)である空飛ぶバイクの開発を手掛けたのは、ロシアのスタートアップ企業で米カリフォルニア州に拠点を置く「ホバーサーフ」だ。同社は昨年UAEとの間で空飛ぶ白バイ「S3(スコーピオン3)」をドバイ警察に供給する契約を締結。このたび初回分のパーツの納品を完了した。

空飛ぶバイクのデモ動画(ホバーサーフ社提供)


ドバイ警察のAI(人工知能)課の総務部長、ブリガディエル・カリード・ナセル・アルラズーキは、空飛ぶバイクなら従来は出動が難しかった場所にもたどり着けるので、将来的に初動捜査の手段として活用すると言った。

車体の総重量は115キロで、最高速度は時速96キロ。地上から最高5メートルの高さで飛行できる。搭載重量は364キロで、パイロットが乗れば10~25分間、ドローン・モードなら40分間の連続飛行が可能だ。

フル充電には2時間半かかるが、ドバイは1台につき約15万ドルで購入する。

「現在、パイロット2名が(空飛ぶバイクの)操縦訓練を受けており、パイロットも増員中だ」と、アルラズーキはCNNに語った。ホバーサーフは自社のインスタグラムに、訓練の様子を撮影した動画を投稿した。

パイロット免許は不要

同社のジョセフ・セグラコンCOO(最高執行責任者)は、ドバイ側が望むだけ大量生産する体制を整えていると言った。「追加注文があれば来月か再来月に連絡がくる。もし30~40台ほど欲しいと言われたら、その通りに対応できる」

理想的なパイロットの条件は、バイクの運転またはドローンの操縦をした経験があることだとセグラコンは言う。

今の電池技術では連続飛行時間が大幅に制限されるなど、空飛ぶバイクにはまだまだ限界がある。ドバイ警察とホバーサーフはCNNに対し、電池の開発にグラフェン(シート状炭素分子)といった新たな素材を使ってバイクの推進力を高めるなど、飛行時間を延ばす方法を研究していると言った。

ホバーサーフは現在、S3の生産拠点として3カ国を検討しており、ドバイも候補地の1つだ。

S3は、お金があれば一般市民でも買える(2カ月~半年待ち)。ただし、飛ばすには十分な操縦技術があることを証明しなければならない。アメリカの場合、パイロット免許はなくてもいい。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独中副首相が会談、通商関係強化で一致 貿易摩擦解消

ビジネス

FRB追加利下げは慎重に、金利「中立水準」に近づく

ビジネス

モルガンS、米株に強気予想 26年末のS&P500

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機「ラファール」100機取得へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中