最新記事

日本社会

中高年男性が軒並みハマる「孤独の美学」 世界が取り組む課題に取り残されるニッポン

2018年10月18日(木)15時56分
岡本 純子(コミュニケーション・ストラテジスト) *東洋経済オンラインからの転載

「孤独」が礼賛されるのは、多くの人が「孤独」という不安を抱えて悩んでいることの裏返しだ

「孤独は宗教のようなものだな」。テレビを見ながら筆者の父はこうもらした。バラエティ番組で、ある女性作家が、迫害や貧困を耐え抜いた盲目の旅芸人の壮絶な人生を紹介しながら、「孤独な生き方がいかに崇高で美しいものか」をとうとうと語っていた。「孤独は美しい」。「孤独は至高の生き方」。多くの日本人がそう信じこむことで、救いを得ようとしている――。それが「宗教」のように見えるということだ。

今、日本では「孤独」がちょっとした「ブーム」である。『孤独のすすめ』『孤独の力』『極上の孤独』......。「孤独」を美化し、推奨する本が次々と出版され、中高年男性を中心に飛ぶように売れている。裏返せば、多くの人が「孤独」という不安を抱え、どのように折り合いをつけていこうか悩んでいるということなのだろう。

「長期的な孤独」という大問題が見過ごされている

自立し、一人の時間を楽しんだり、ひと時の孤独の不安を乗り切る強さは必要だ。しかし、そうやって、「孤独」を過度にポジティブにとらえようとする風潮の下で、「長期的な孤独」という大問題が見過ごされている。

国立社会保障・人口問題研究所が今年8月に発表した調査では、65歳以上の高齢者で1人暮らしをしている男性の15%(女性は5%)、およそ7人に1人が、会話の頻度が2週間に1回以下であるという結果だった。また、65歳以上で一人暮らしの男性の30.3%(女性は9.1%)が「日ごろのちょっとした手助け」で頼れる人が「いない」と答えた。

アメリカの財団が同じ8月に発表した日米英の孤独に関する調査では、孤独であると回答した人のうち、10年以上、孤独であるという割合が35%と、アメリカ(22%)、イギリス(20%)より圧倒的に高かった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米国務長官、ミュンヘン安保会議出席へ 米代表団50

ビジネス

アポロ、xAI関連の事業体に約34億ドル融資へ=報

ビジネス

米消費者の1年先インフレ期待低下、雇用見通し改善=

ワールド

トランプ政権、解雇された連邦職員の異議申し立て制限
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中