最新記事

アメリカ政治

次期大統領選でのポストトランプ最右翼? ヘイリー米国連大使、憶測呼ぶ「退任後」

2018年10月11日(木)12時30分

10月9日、ニッキー・ヘイリー米国連大使(左)が退任することになった。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

ニッキー・ヘイリー米国連大使が退任することになった。ただ与党・共和党が女性票獲得に苦戦する中で、最も知名度が高い党員であるヘイリー氏が再び政治の表舞台に登場してもおかしくない。

ヘイリー氏(46歳)は、2020年の次期大統領選について再選を目指すトランプ氏に挑戦することも含め、出馬があるのではないかとの観測を否定した。しかしそれで次の選挙を巡るワシントン政界の思惑が鳴りを潜めることはない。サウスカロライナ州知事として人気があった時代からヘイリー氏を知る人々は、同氏が今、うらやましいほど引く手あまたの立場にあるとみている。大統領、副大統領、もしくは上院議員の全てに可能性があるという。

サウスカロライナ州時代の側近は「ヘイリー氏が国連大使として残した実績は、自身の評価を上げただけでなく、国連大使という職務の価値を高め、後任者の責任を重くした」と述べた。

実際、キニピアック大学が4月に行った世論調査ではヘイリー氏の仕事ぶりを評価する有権者は全体の63%に達し、民主党員でも55%が肯定的な見方を示した。

ヘイリー氏は退任の理由に関して、しばらく休みたいという希望を述べた程度であまり明確にしていない。辞表には民間への復帰が言及されているとはいえ、ずっと同氏の行動を見てきた人たちの中では、彼女が公的な仕事からそれほど長く離れることはないとの予想が支配的だ。

チャールストン大学のジョーダン・ラグサ教授(政治学)は「(退任の)一番それらしい理由は、ヘイリー氏が大統領選出馬をにらんでトランプ氏とある程度距離を置きたいということだ」と話した。

国連大使を務めて、それまで乏しかった外交経験を加えたヘイリー氏は、今や共和党の顔としては理想の候補者になっている。トランプ氏の人気をさらうことなく協調するすべを理解しながらも、自分にとって大事な問題では屈しない政治姿勢を持っているからだ。

またヘイリー氏は、性的被害を受けたと訴える女性らがたとえトランプ氏を非難しているとしても、彼女たちの言い分に耳を貸すべきだと主張。ロシアへの態度はトランプ氏よりも強硬であり、バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者と抗議グループとの衝突事件を巡っては、自らのスタッフにヘイト主義に反対するよう求め、トランプ氏と好対照をなした。

ヘイリー氏の退任で、同氏がリンゼー・グラム氏の代わりにサウスカロライナ州の上院議員になる可能性も取りざたされている。

ワシントンでささやかれているのは、トランプ氏が中間選挙後に司法長官をジェフ・セッションズ氏からグラム氏に交代させるなら、2020年の次回選挙までのグラム氏の後釜を選ぶ責任はヘンリー・マクマスター・サウスカロライナ州知事に委ねられるという筋書きだ。

マクマスター氏は、ヘイリー氏の州知事時代の副知事だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン

ワールド

ウクライナ、米国に和平案の改訂版提示 領土問題の協

ビジネス

米新規失業保険申請、約4年半ぶり大幅増 季調要因の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中