最新記事

米中衝突

「中国はトランプ大統領の排除を画策している」ペンス米副大統領

Pence Speech Warns China Is Working to Remove Trump

2018年10月5日(金)15時40分
ジェイソン・レモン

ペンスは中国が米国内選挙に介入していると強調した(画像は昨年11月に訪中したトランプと習近平国家主席) Thomas Peter-REUTERS

<南シナ海問題や貿易戦争で対立が深まる中、アメリカ世論を操作して選挙でトランプを不利にしようとする中国の工作活動を糾弾>

アメリカの国政に介入しようとする中国の陰謀は、ロシアよりも遥かに大きな脅威だ――マイク・ペンス米副大統領は10月4日、ワシントンのシンクタンクで行った演説でこう言い、中国に厳しく対処する姿勢を見せた。

ペンスは、情報機関の専門家の意見や中国政府の手によるものとされる工作活動を例に挙げて、中国がアメリカの選挙に介入しようとしているというドナルド・トランプ米大統領の主張を裏付けた。

「中国は工作員や偽装グループ、プロパガンダ媒体を活用し、中国の政策に対する米国民の認識を変えようとしてきた。米情報機関の幹部によれば、中国がアメリカで行っている工作活動はロシアの活動よりはるかに広範に及んでいる」と、ペンスは言った。また「中国はトランプとは別の米大統領を望んでいる」と述べ、結果として中国が「米世論に影響を及ぼす前例のない試み」を企てていると指摘した。

今週3日には、米国土安全保障省(DHS)が「中国政府と繋がるハッカー集団が、データを盗むために欧米のITサービス企業へのハッキングを開始した」と警告している。DHSのクリストファー・クレッブスは声明で、「米政府と民間が協力してこの攻撃に対処するよう強く求める」と指示した。

米サイバーセキュリティ―企業「クラウドストライク」のドミトリ・アルペノビッチは、「残念ながら、中国のハッカーたちが戻ってきた。今や彼らは欧米の情報機関を攻撃する最大の脅威だ」と、ロイター通信に語っている。

ペンスの対中批判は、ハッキング攻撃、選挙介入にとどまらない。アフリカなどの発展途上国のインフラ建設などに財政支援や融資を行って借金漬けにする「債務の罠」外交も槍玉に挙げた。「(中国から途上国への)融資条件はまったく不透明で、圧倒的に中国が得するようになっている」と、ペンスは述べた。

中国が一方的に領有権を主張して軍事拠点化を進める南シナ海については、米軍の軍事行動に対して中国が「無謀ないやがらせ」を仕掛けていると非難。先月末にも、南シナ海を航行中の米誘導ミサイル駆逐艦「ディケーター」に中国駆逐艦が急接近してあわや衝突、という異常接近事件が起こったばかりだ。

「中国は前例のない規模の軍事力を誇示しようとしている。しかし、アメリカは怖気づかない。アメリカは退かない」と、ペンスは述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

都区部CPI4月は1.6%上昇、高校授業料無償化や

ビジネス

ロイターネクスト:米経済は好調、中国過剰生産対応へ

ビジネス

アマゾン、インディアナ州にデータセンター建設 11

ビジネス

マイクロソフト出資の米ルーブリック、初値は公開価格
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中