最新記事

韓国事情

韓国、模倣蔓延から著作権保護強化へ──中国による違法コピー対策で

2018年9月25日(火)17時45分
佐々木和義

JGregorySF-iStock

<これまで多くの分野で韓国による日本ブランドの模倣が問題になってきたが、ここへきて中国による韓国ブランドの違法コピー増で、韓国も著作権保護強化の流れが強まっている>

韓国の裁判所が7月31日、韓国漫画キャラクター「ロボットテコンV」は日本の「マジンガーZ」と区別される独立的な著作物という判断を下して話題になった。

テコンV関連の著作権を有するロボットテコンV社が、玩具類輸入業者を相手取り、同社が製造販売する製品がテコンVの著作権を侵害しているとして損害倍書を請求した裁判で、輸入業者側は、テコンVは日本のマジンガーZやグレートマジンガーを模倣したものであり著作権法で保護される創作物には該当しないと主張した。

裁判所は判決で、テコンVとマジンガーZの類似を認めつつも、テコンVは独自性をもつ著作物であるとして、ロボットテコンV社の主張を全面的に認める判決を言い渡したのだ。

日本ブランドの模倣が指摘されてきた韓国企業

日本と韓国の知的財産トラブルは少なくない。2017年1月にはリーガルコーポレーションが韓国でリーガルを製造販売する金剛製靴を著作権侵害で訴えた

日本製靴(現リーガルコーポレーション)は、1961年に米国企業とライセンス契約を締結し、1990年には米国など3カ国を除く地域で「リーガル」の商標権を取得した。1971年に一部商品の製造を金剛製靴に委託したが、金剛社は無断で商標を登録し、取引解消以後もリーガルブランドの製造販売を続けている。一年に渡る訴訟の末、裁判所は、金剛社が有する商標は合法であるとしてリーガル社の請求を棄却した。

また、日本の菓子やスナックは模倣がたびたび指摘されている。2014年に韓国ロッテが発売したプレミアペペロのパッケージが、日本の江崎グリコが発売する高級版ポッキーのバトンドールに酷似しているとして提訴し、裁判では江崎グリコが勝訴したが、ペペロはポッキーと酷似するロッテ製菓の代表商品だ。

ほかにも、農心の「セウカン」はカルビーの「かっぱえびせん」、オリオンの「チョコソンイ」は明治の「きのこの山」、南陽乳業の「17茶」とアサヒ飲料の「16茶」、ヘテ製菓の「カロリーバランス」も大塚製薬の「カロリーメイト」に似て話題になっているが、いずれも日本をベンチマーキングしたに過ぎないと模倣を否定している(中央日報)。

コピーが蔓延する韓国

さらにファッションでは、英バーバリーリミテッドが2013年と2014年に同社固有のチェック柄を盗用したとして韓国企業を提訴し、フランスのロンシャンもデザイン権侵害で韓国企業に勝訴したが、ファッションブランドが訴訟を提起する例は多くはない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中