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中国の宇宙ベンチャーが誇示した技術力の高さ 人工衛星からロケットの打ち上げ撮影

2018年9月14日(金)15時15分
鳥嶋真也

宇宙から国際宇宙ステーションの撮影にも成功

またその翌日には、吉林一号から撮影した、国際宇宙ステーション(ISS)の画像も公開された。このとき、ISSは地表から高度約400km、吉林一号は高度640kmを飛んでいた。撮影時の相対速度など詳しい状況は不明だが、両者の軌道は大きく異なるため、かなりの速度差があったものと考えられる。

軌道上の衛星を別の衛星から撮影した例はこれまでにもあるが、相対速度差が大きいため、不鮮明な画像になりがちである。ISSは巨大な衛星ではあるとはいえ、ここまで鮮明に撮影できたのは、ロケットの映像と同様、吉林一号の性能と、同社の技術力の高さを物語っている。

space002.jpg

吉林一号が撮影した国際宇宙ステーション。このとき、両者ともまったく異なる方向に高速で移動していた (C) Chang Guang Satellite Technology Co., Ltd.

もちろん、過去に米国などが打ち上げた偵察衛星や、民間の商業用の地球観測衛星でも、同じことは可能だったかもしれないが、実際にやってみせ、それを広く公表した意義は大きい。

同社ではこのほかにもさまざまな画像や映像を公開しており、今後、さらに新たな、そして多くの衛星の打ち上げも計画している。たとえば地表のある場所を、準リアルタイムで常時、動画で撮影し続けるなどといった、これまでになかった衛星写真が見られるようになるかもしれない。

中国の宇宙ベンチャーの躍進はもちろん、その技術やデータがどう使われるかには、大いに注目する必要がある。

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