最新記事

未来予測

AI介護、雇用収縮......2030年、AIで日本の職場と家庭はどう変わる?

2018年9月13日(木)18時00分
竹内一正(作家、ビジネスコンサルタント)

物語に登場するメガバンクのエリート銀行マンの五十嵐は、要領よく出世することにしか頭にない男だ。マイナス金利政策以降 銀行経営は悪化し、融資先は見当たらないまま銀行業界はすでに斜陽産業になっていた。AIはコールセンターの人員を大幅に削減したものの、店舗数も減っていた。

銀行の窓口から女性行員の姿は消え、代わりに音声対応のタッチパネルがずらっと並ぶ。ATMは銀行間で共通化したが、コストカットには不十分で、ATM台数を大幅に削減した。

そして、他行同様に五十嵐の働く銀行もAIによる融資審査に活路を見出そうとしていた。だが、頭取がAIに入力するデータを操作させ、自分の都合のいいAI融資の結果を引き出す不正事件に巻き込まれる。さて、五十嵐の運命は......。

どんなに性能の優れたAIでも、入力データが間違っていては役に立たないどころか、混乱を招き、会社を破滅に追い込んでしまう。

AIに出来ないことはたくさんある

自動車の組立てなど作業手順が決まっている定型作業はAIが得意だし、大量の文章を読んだり、顔認識など画像処理や音声認識もAIが力を発揮する。だからといってAIは万能ではない。出来ないこともたくさんある。

物語には、優秀なエンジニアだったが会社を辞めて、郷里で漁師になる女性、長谷川桃子が登場する。

桃子の郷里の漁師たちの高齢化は激しく、彼らが通っていた病院は経営悪化から閉鎖され、医療格差も広がっていた。

男勝りの桃子は、苦労の末に定置網漁のコツを学び、AIを用いて一度の漁で獲れる漁獲量をアップさせることを思いつき、周りの協力も得て成功にこぎつけた。

ところがしばらくして、AIでは、資源としての魚の量を根本的に増やすことはできないことに気づく。AI以上の力を持っていたのは規制官庁だった。そこで桃子は、役人を動かすために驚きの行動に出る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、テスラへの補助金削減を示唆 マスク氏と

ビジネス

米建設支出、5月は‐0.3% 一戸建て住宅低調で減

ビジネス

ECB追加利下げに時間的猶予、7月据え置き「妥当」

ワールド

米上院、トランプ減税・歳出法案を可決 下院で再採決
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    未来の戦争に「アイアンマン」が参戦?両手から気流…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中