最新記事

銃乱射事件

米eスポーツ大会での銃乱射、ゲームで負けたことが動機か

Multiple Dead at Jacksonville Arcade Shooting

2018年8月27日(月)14時00分
ニコール・グッドカインド

銃乱射を目撃した大会参加者 REUTERS-Joey Roulette

<アメリカで今年232件目となる銃乱射事件がフロリダ州で発生。些細な動機でも実行できるなら、あとどれだけ増えるか分からない>

米南部フロリダ州ジャクソンビルで8月26日、eスポーツのトーナメントが行われていたバーで銃乱射事件が発生し、2人が死亡、11人が負傷した。

地元警察は記者会見を開き、容疑者は現場で死んだ白人の男だと明らかにした。自殺とみられる。

その後の警察の調べで、男は米東部メリーランド州ボルティモアから来たデービッド・カッツ(24)と特定された。単独犯で、少なくとも拳銃1丁を使って犯行に及んだと言う。

米報道によると、容疑者はeスポーツの大会に出場して負けたことがある。それが乱射の動機である可能性もある。

大会がリアルタイムで配信していた試合映像に、銃声が記録された


負傷者はジャクソンビルにある複数の病院に搬送された。

ジャクソンビルにあるメモリアル病院の広報担当者は本誌の取材に対し、搬送された3人の容体は安定している、と言った。

病院に搬送された9人の生存者以外にも2人が負傷したが、事件現場から自力で脱出した、とマイク・ウィリアムズ保安官は記者会見で語った。負傷した11人全員の容体は安定していると言う。

ドナルド・トランプ米大統領は事件について報告を受けており、状況を見守っている、とホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は言った。

銃弾が親指に

警察は負傷者全員を現場から避難させ、目撃者に聞き取り調査を行っている。保安官は市民に対し、事件の様子が映った動画を提供するよう求めている。

乱射事件が起きたのは、ジャクソンビルのダウンタウンにある複合商業施設「ランディング」にある「GLHFゲームバー」。米ゲーム会社「エレクトニック・アーツ」(EA)とNFLが共催するアメリカンフットボールのeスポーツイベント、「マッデン NFL 2019」のトーナメントが開かれていた。奇しくも銃乱射の様子は、ゲーム動画をネット配信するサイト、Twitch(ツイッチ)で中継された。映像の音声から、銃声が響き、悲鳴も上がっているのが分かる。

その日、トーナメントにメンバー1人が参加していたプロのeスポーツチーム、「CompLexity」のジェーソン・レイクCEOは、本誌にこう語った。「今回の事件に大変ショックを受け、悲しんでいる。われわれの選手であるドリニ(ジョカ)は親指を撃たれたが、大丈夫だ。彼は何とか脱出して通りに飛び出し、近くのジムに駆け込んだ」

「本当に不幸中の幸いだった。銃弾が当たったのが親指だった」、とジョカはツイッターに投稿した。「もう二度と、何でも当たり前と思わない。人生が一瞬で終わることもあるのだから」

アメリカの今年の銃乱射事件は、これで232件目となった。

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国は重要な隣国、関係深めたい=日中首脳会談で高市

ワールド

米中国防相が会談、ヘグセス氏「国益を断固守る」 対

ビジネス

東エレク、通期純利益見通しを上方修正 期初予想には

ワールド

与野党、ガソリン暫定税率の年末廃止で合意=官房長官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中