最新記事

メディア

電話の男、CNNアンカー2人を「撃ち殺す」と脅迫 生放送で

Caller Threatens To Shoot CNN Hosts On Live TV

2018年8月6日(月)18時30分
ベンジャミン・フィアナウ

CNNのドン・レモンは、トランプが最も嫌うアンカーの一人だ CNN.com

<名指しされたアンカーは脅迫の音声を再生し、ジャーナリストへの脅迫が増加していると訴えた>

米CNNのアンカー2人は8月3日、別のケーブル局C-SPANの生放送番組で、視聴者の男から撃ち殺すと脅された。ドナルド・トランプ米大統領やその支持者たちのメディア攻撃について全米の視聴者が電話で次々と意見を述べている最中だった。

電話の男(「ドン」と名乗った)は最初、少ししゃがれた声で、「全てはトランプが当選した時に始まった」と切り出した。「CNNのブライアン・ステルターとドン・レモンは、トランプ支持者は『全員、人種差別主義者だ』と言った」

「奴らは俺たちみたいなアメリカ人を知りもしないくせに、トランプに投票したから人種主義者とは、勘弁してくれよ」と男は言った。「この(人種)戦争を始めたのは奴らだ。もし奴らを見かけたら、撃ち殺す」

ステルターは2日後の8月5日、自分の番組「リライアブル・ソース」で脅迫の音声を再生し、トランプ支持者を人種差別主義者と決めつけたことはないと否定した。

ドン・レモンは日ごろからトランプに厳しく、トランプからも「CNNで最もバカな男」と呼ばれていた。ターゲットになったのは、そのせいかもしれない。

(メディアを「アメリカ最大の敵」と呼んだトランプを批判するレモン。00:46~)


ステルターは視聴者に対し、同情を求めて脅迫を流したわけではない、と言った。他のジャーナリストや同僚が受けている脅迫の深刻さに光を当てたかったと言う。例えば、CNNの政治記者ジム・アコスタは、フロリダ州タンパで開かれたトランプ支持者の集会からの生中継中、群衆から「うそつき」「CNNくそ食らえ」などと罵声を浴びたという。

過激化するトランプのメディア攻撃

トランプのメディア批判は最近、激しさを増している。とくにジャーナリストが警戒しているのは「メディアは私の敵ではない、アメリカ人の敵だ(エネミー・オブ・アメリカンズ)」と、メディアと国民を対立させるロジックだ。電話の男がCNNのアンカーを殺すと脅した直後、トランプはこうツイートした。「メディアは大きな分断と不信をわざと引き起こしている。彼らは戦争も仕掛けられる! 非常に危険で病んでいる!」

米調査機関ピュー・リサーチ・センターが今年6月に発表した世論調査は、アメリカ人の間でメディアへの不信感が高まっていることを浮き彫りにした。それによれば、アメリカ人の68%が24時間ニュースに「疲れた」と回答。さらに、その日アメリカで最も重要な話題を一般の人々に知らせる、というメディアの役割を果たしているかどうかについて「非常に良い」と回答した人はわずか17%にとどまった。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中