最新記事

中東

イラン「ホルムズ海峡封鎖」を盾に核合意協議の主導権を握るか

2018年7月13日(金)13時20分

7月11日、イラン革命防衛隊高官は先週、イラン産原油の輸入停止を求める米国の呼び掛けに各国が応じるならば、ホルムズ海峡の封鎖に踏み切ると警告した。写真はペルシャ湾で2005年7月撮影 (2018年 ロイター/Raheb Homavandi)

イラン革命防衛隊高官は先週、イラン産原油の輸入停止を求める米国の呼び掛けに各国が応じるならば、ホルムズ海峡の封鎖に踏み切ると警告した。

ホルムズ海峡を通過する中東産原油は、世界の石油消費量の2割に相当する。対イラン外交を巡るペルシャ湾岸の過去の紛争は、以下の通り。

過去の行動

ホルムズ海峡の一部はオマーンの領海であるため、イランが同海峡を一方的に封鎖することはできない。だが船舶は、イランのイスラム革命防衛隊海軍が監視するイランの領海を通過している。

2016年には、革命防衛隊はイランの領海に侵入した米国人船員を取り調べて一晩拘束。その1年前には、イランの石油プラットフォームを破損したとしてシンガポールの国旗を掲げるタンカーを砲撃した上、1週間にわたって船舶をだ捕し、船員の身柄を拘束している。07年にはペルシャ湾北部で英国人船員を拘束した。

またイランは毎年、中距離巡航ミサイルと中距離弾道ミサイルの演習も実施。革命防衛隊のフセイン・サラミ副司令官は14年、イランはペルシャ湾地域で米国と対決するため巡航ミサイル、弾道ミサイル、無人機、機雷、高速船、ミサイル発射装置を使う可能性があると表明した。

15年には革命防衛隊の軍事演習がテレビ放送され、米航空母艦の模造品がミサイルで破壊され、革命防衛隊が海峡で機雷配備を訓練する様子が映し出された。

米海軍によると、16年1月から17年8月までに米海軍とイラン海軍の間では「危険な」もしくは「不当な」接触が月平均で2.5回あった。

1980年から88年にかけてのイラン・イラク戦争では、双方が相手国の石油輸出を妨げるため船舶を攻撃し合う事態となり、「タンカー戦争」と称された。

米海軍情報局(ONI)によると、88年には米国のフリゲート艦がイランの機雷に衝突、船体に穴が開いてキールを折る損傷を負った。米国は報復として、イランの石油ターミナル2カ所を破壊した上、イラン軍艦を撃沈している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英シェル株主は気候対策強化案に反対を、グラスルイス

ワールド

中国主席、5年ぶり訪欧開始 中仏関係「国際社会のモ

ワールド

ガザ休戦交渉難航、ハマス代表団がカイロ離れる 7日

ワールド

米、イスラエルへ弾薬供与停止 戦闘開始後初=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中