最新記事

宇宙

誕生間もない惑星の姿を鮮明に捉えた画期的映像が公開された

2018年7月6日(金)15時30分
松岡由希子

誕生間もない惑星の姿を鮮明に捉えた画期的映像 photo: ESO/A. Müller et al.

<ヨーロッパ南天天文台(ESO)は、誕生間もない惑星の姿を撮像することに初めて鮮明に捉えることに成功した>

英国・ドイツ・フランスを含む欧州15カ国とブラジル、チリが共同運営するヨーロッパ南天天文台(ESO)は、2018年7月2日、誕生間もない新たな惑星の画像を公開した。

チリ・パラナル天文台にある「超大型望遠鏡VLT」が捉えた

独マックス・プランク天文学研究所の研究チームが、チリ・パラナル天文台にあるESOの超大型望遠鏡(VLT)に設置された観測装置「SPHERE」を使って、地球から370光年に位置するケンタウルス座の矮星「PDS70」の周辺でとらえたもの。その成果をまとめた2本の研究論文が学術雑誌「アストロノミー・アンド・アストロフィジックス」に掲載されている。

画像中央の黒いエリアの右隣に明るい点として映っているのが「PDS 70b」と名付けられた"赤ちゃん惑星"である。

ちなみに、中央の黒いエリアは、中央天体の光を遮断してその近くにある天体を観測しやすくする観測装置「コロナグラフ」が矮星「PDS70」の強い光を遮ったことによるものだ。画像では互いに近くにあるようにみえるが、「PDS 70b」とこの矮星とはおよそ30億キロメートル離れており、その長さは太陽と天王星との距離に相当する。

木星の数倍の質量を有する巨大ガス惑星

研究チームの分析によると、「PDS 70b」は、木星の数倍の質量を有する巨大ガス惑星であり、地表温度は摂氏1000度から1600度と太陽系のどの惑星よりも高温で、現在も周囲の物質を巻き込みながら成長を続けている。また、そのスペクトルを分析したところ、「PDS 70b」の大気は雲っていることもわかっている。

一般に、星が新たに形成される際、塵や岩、ガスからなる原子惑星系円盤がその周囲を取り囲む。粒子の衝突によって惑星形成が起き、重力が次第に強くなり、物質を集めながら惑星が形づくられていくというわけだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日清食品HD、通期業績予想を下方修正 国内の原材料

ビジネス

経済・物価「なお高い不確実性」、米経済下振れに警戒

ワールド

スイス、米関税で近く猶予措置も 企業幹部のトランプ

ビジネス

景気動向一致指数9月は1.8ポイント上昇、3カ月ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中