最新記事

資源

シンガポール「水問題」が再燃 輸出元マレーシアは大幅値上げ要求

2018年7月3日(火)13時39分

紆余曲折

1962年に締結された合意の下、シンガポールは、マレーシアのジョホール川から1日当たり最大2億5000万ガロン(9億4600万リットル)の水を輸入することができる。これはシンガポールが1日に必要とする水の約58%に相当する。

価格は1000ガロンにつき0.03リンギ。そのうち、少量の処理水は特別価格でマレーシアに売ることが義務付けられている。

シンガポールが最大量の水を輸入する場合、その額は年間約270万リンギ(約7400万円)となる。

水供給契約は、1965年に両国が分離した際に、両政府によって保証された。シンガポールは、同契約を尊重することは、国民国家としての自国が存続することと同じであると明言している。

「水供給を巡る問題は他のどの政策よりも優先されなくてはならなかった」と、シンガポール建国の父、リー・クアンユー元首相はかつてこう述べた。2015年に死去したが、現在は息子のリー・シェンロン氏が首相を務めている。

マハティール首相とリー・クアンユー氏の関係が険悪だったことは有名な話だ。マハティール氏はかつて、不当な契約である証拠として、香港と中国が結んだ契約を指摘したことがある。

公式データによると、香港は昨年、必要な真水の3分の2以上(1日当たり4億8000万ガロン)を中国から買うのに定額47億8000万香港ドル(約670億円)を支払った。

一方、シンガポールは、マレーシアから輸入する水の価格が比較的低く抑えられているのは、処理費用だけでなく、ポンプやマレーシアからのパイプラインの建設、稼動、維持にかかるコストも全額負担しなければならないからだと主張している。

マレーシアは2000年に価格改定を求めたが、シンガポールは2061年以降も価格を固定する案を提示してこれに対抗した。

一連のやりとりを経て、協議は平行線に終わった。マレーシアは、シンガポールが理不尽で、過度に法律を尊重していると非難した。

一方、シンガポールは、話し合いが失敗に終わったのはマレーシアに責任があると主張。マレーシアが、価格を現在の200倍に引き上げるよう要求し、「2061年以降の水供給に関して合意する意思がない」ことが明らかだったとしている。

2011年には、マレーシアの他の場所から水を供給する別の契約が失効した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米12月小売売上高、前月比横ばい 個人消費の鈍化示

ビジネス

米雇用コスト、第4四半期は前年比3.4%上昇 4年

ビジネス

米輸入物価、25年12月は前月比0.1%上昇 前年

ビジネス

中国人民銀、内需拡大へ金融支援強化へ 過剰生産と消
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 7
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 8
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 9
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 10
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 10
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中