最新記事

音楽

ヒット曲を作り出す方程式

2018年6月6日(水)17時00分
メーガン・バーテルズ

テイラー・スウィフト(中央)のような女性の力強いダンスナンバーも人気が高い Kevin Mazur/GETTY IMAGES FOR TAS

<過去30年の50万曲を数学的に解析すると、75%の精度でヒットするかどうかを予測することができた>

テイラー・スウィフトはヒット曲の作り方を熟知している。「シェイク・イット・オフ」のミュージックビデオでも、「私の中から音楽が聞こえてくる/これでいいんだよ、って」と歌いながら軽快に踊る。

売れそうなメロディーが誰にでも空から降ってくるとはいかないが、ヒットの法則というものがあるのだろうか。カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームは数十万曲を数学的に解析し、英王立協会のオープン・サイエンス誌に論文を発表した。

「私のティーンエージの娘が聴いている曲は、私が同じ年頃に聴いていた曲とかなり違う」と、論文の共同執筆者でライフサイエンスが専門の数学者ナタリア・コマロバ教授は言う。「音楽は明らかに進化している」

コマロバたちは85~2015年の30年間にイギリスでリリースされた50万曲のデータベースを分析。シングルチャートのトップ100に入ったものを「成功」したヒット曲と定義した。

最も顕著な特徴の1つは、踊りやすい曲だ。例えば14年にリリースされたヒット曲は、スウィフトの「シェイク・イット・オフ」のほか、シーアの「シャンデリア」やメーガン・トレイナーの「オール・アバウト・ザット・ベース」もダンスにぴったり。ほかにも幸せな曲、エレクトロニック音楽、インストゥルメンタル、男性ボーカルなどの特徴がみられる。

ただし、論文は残念な傾向も指摘する。この30年間で「幸せな曲」「明るい曲」は減り、「悲しい曲」が増えているのだ。さらに、男性が歌うヒット曲も減っている。

「(売れる音楽と売れない音楽は)まるで生物学的に異なる種のようだ」と、コマロバは言う。

この数学的な発見は、ヒットの法則につながるのだろうか。コマロバたちは音楽的な特徴をアルゴリズムに取り入れて機械学習を用いたところ、75%の精度でヒットするかどうかを予測することができた。

音楽を純粋に愛する人にはうれしい話だろう。ヒットするかどうかはアーティストの名前や大金をつぎ込んだマーケティングだけでなく、大部分が音楽的な特徴で決まっていたからだ。

「とても前向きな発見だ」と、コマロバは言う。「肝心なのは音楽そのものだ」

[2018年6月 5日号掲載]

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ITA支援の外国政府調達契約、25年は前年比3倍

ビジネス

ドイツ25年借入額、当初計画下回る 歳出減と歳入増

ビジネス

英中銀のグリーン委員、インフレ圧力を依然懸念

ワールド

デンマーク首相、NATO事務総長と北極圏の安全保障
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 8
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中