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『アンネの日記』から明かされた「下ネタ」でアンネが伝えたかったこと

2018年5月18日(金)15時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

売春に対しても興味津津だ。「すべての男性は、『ノーマル』であるなら、女性のことが好きだわ。娼婦は道で客を捕まえたら、そのまま一緒にどこかへ行く。パリにはそのための大きな家があるみたい。『パパ』がそこにいるのよ」

極めつけは、かなり際どい4つのジョーク。アンネ自身が自分の言葉に「dirty(下品)」と突っ込むほどの。

13歳の少女は「ドイツ軍の女の子たちが何のためにいるか分かる? 兵士の『マットレス』になるためよ」などの風刺的なダーティジョークで日記に思いをぶつけた。(CNN

今の『アンネの日記』は父親が出したもの

1944年にナチスに見つかり家族とともにアウシュビッツに送られるまで、アンネは筆をとり続けた。そして15歳のとき、ベルゲン・ベルゼン強制収容所で姉マルゴーと命を落とすことになる。

アンネの家族の中で生き残ったのは、父親のオットー・フランクだけ。彼は娘の形見となった日記を公表したわけだが、もちろん手を加えていた。家族の悪口や、関心を持たれなそうな部分を省いた。

解読に携わった機関によると、著作権の問題があるため、新たな2ページを収録した『アンネの日記』が出るかどうかは、まだ分からないという。

しかし、「アンネ・フランクの家」のエグゼクティブ・ディレクター、ロナルド・レオポルドが「この発見により、彼女自身、そしてアンネ・フランクという作家への理解がさらに深まる」と指摘するように、今も昔も変わらないティーンエイジャーのみずみずしい感性と、社会への自分なりの意見を持つことの大切さを訴える貴重なもの。世界中でベストセラーになった日記が、長い年月を経て筆者の言葉で新たな事実が加筆される意義は大きいだろう。

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