最新記事

シンガポール

初の米朝首脳会談の開催地シンガポール なぜ選ばれた? 会談の行方は?

2018年5月15日(火)17時45分
大塚智彦(PanAsiaNews)


会談場所の有力候補は2つのホテルか

シンガポールで米朝首脳会談の開催場所として有力視されているのが繁華街オーチャード通りに近いものの周囲を高級高層住宅に囲まれた「シャングリラ」ホテルとウォーターフロントに建つ最上階が船型のプールで有名な「マリーナベイサンズ」ホテルである。

このうち「シャングリラ」は過去に国家元首級のVIPが何度も宿泊し、国際会議開催の実績があるほか、アクセスが限られるため警備上好都合とされている。

「シャングリラ」の正面玄関に至るには表ゲートと裏ゲートがある。このうち裏ゲートは散歩道の延長で階段でしか接近できないため、この裏ゲートを閉じれば人と車両のアクセスは正面1か所に絞られ、警備する側からすれば好都合である。

さらに「シャングリラ」は過去に国際社会での歴史的会談の場を提供してきた「実績」もある。2015年には中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総督が初の会談を行ったほか、1993年には初の中台接触となった中国海峡両岸関係協会の汪道涵会長と台湾海峡交流基金の辜振甫理事長が会談したのも「シャングリラ」だった。

一方の「マリーナベイサンズ」ホテルは現在の観光立国シンガポールを代表するホテルといえる。ただ、アクセスの問題やチェックアウト時には30分待ちともいわれるエレベーターの混雑、ホテルそのものが観光地化していて、宿泊客以外の中国人観光客や東南アジアの観光客が多数うろついていることなどがマイナス点ではないかといわれている。

海外メディアによると「シャングリラ」「マリーナベイサンズ」の両ホテルは首脳会談が予定される6月12日はすでにオンラインでの予約が不可能な状態になっているという。

それがすでに予約で一杯なのか、会談を想定して一般客を締め出すためなのかはわからない、という。両ホテルともに「特にシンガポール政府からの(首脳会談について)特段の指示はない」としているが、真相は不明だ。

また両ホテル以外には、リー・シェンロン首相が大統領宮殿を提供する用意があると以前発言していたことから、大統領宮殿も候補のひとつという報道も出ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港当局、高層住宅火災受け防護ネット全面撤去へ

ワールド

インドネシア、採掘規則違反企業を処分へ 洪水で死者

ビジネス

日銀、12月会合で利上げの可能性強まる 高市政権も

ワールド

アングル:「高額報酬に引かれ志願」、若きウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中