最新記事

核合意

イランが核保有に要する時間はどのくらいか

2018年5月10日(木)17時00分
クリスティナ・マザ

兵器開発には時間がかかる

核合意では、イランは兵器級プルトニウムも15年間生産できないことになった。これに従い、イランは西部の都市アラク近郊に建設中だったプルトニウム生産用の重水炉を、兵器級プルトニウムを生産できないよう改造した。

ここからイランが核保有国の仲間入りをするには、何年もかかるとみる専門家もいる。

「イランが核兵器開発を進めてアメリカに対峙するには、何をどれだけ作るかなど決めるべきことがたくさんある。今すぐ始めても何年もかかるだろう。施設があっても、すぐに核を保有できるわけではない」と、米シンクタンク・戦略国際研究所の国家安全保障の専門家アンソニー・コーズマンは本誌に話した。

「核合意で、イランは多くを放棄した。計画はすぐには再開できない。改造した原子炉を元に戻すには時間がかかり、再設計が必要だ。元に戻しても、それで爆弾が1個できるとは限らないし、できたとしてもその実験がうまく行くとは限らない」

核武装を望む保守強硬派

イランが核合意を順守しているかは、国際原子力機関(IAEA)が定期的に査察を行い、報告書をまとめている。それによれば、イランが合意に違反したことを示す証拠は一切ない。

それでもドナルド・トランプ米大統領は、15年の期限付きでは、その後の核兵器開発を容認することになると主張する(実際は、イランは開発計画を続行しないとし、核施設を建設する場合はIAEAに告知すると約束している)。

またトランプは、従来型の弾道ミサイルの実験を禁止していないこともこの合意の重大な欠陥だと指摘。抜け穴だらけの合意で制裁が解除されたおかげで、イランは核開発を断念せずに、中東で影響力を拡大していると、怒りをぶちまけてきた。

アメリカの離脱に、他の当時国が最終的にどう対応するかは不透明だ。だがアメリカが再び制裁を発動すれば、イラン国内で反米感情が高まり、イランは核兵器を持つべきだとする保守強硬派が勢いづく懸念もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中