最新記事

日米首脳会談

トランプ、北朝鮮への拉致問題議題化とバーターで日本に通商政策の譲歩求めるか?

2018年4月16日(月)16時24分

4月16日、日本政府は17、18日の日米首脳会談で、米側が北朝鮮と通商の2つの問題を絡めてくることに警戒を強めている。米朝首脳会談で拉致問題などを取り上げてもらう代わりに、貿易赤字の削減で米側から譲歩を迫られる可能性があるとみている。写真は都内で昨年11月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

日本政府は17、18日の日米首脳会談で、米側が北朝鮮と通商の2つの問題を絡めてくることに警戒を強めている。米朝首脳会談で拉致問題などを取り上げてもらう代わりに、貿易赤字の削減で米側から譲歩を迫られる可能性があるとみている。国内で支持率急落に直面する安倍晋三政権は、外交で挽回したいところ。安倍首相が自負するトランプ大統領との良好な関係が試される。

TPP復帰は「えさ」か

日本側は今回の首脳会談で、北朝鮮問題を主な議題にしたい考え。米政府高官は、米朝首脳会談を控えるトランプ大統領が、安倍首相から助言を得たがっているとしている。

だが、日本政府関係者は、トランプ氏が今年秋の米中間選挙前の得点稼ぎとして、対米貿易黒字を抱える日本との通商問題を大きく取り上げてくるのではないかと身構えている。

トランプ大統領は会談が近づくにつれ、経済問題で日本への圧力を強めつつある。13日には突如として環太平洋連携協定(TPP)に復帰する可能性を表明したかと思えば、その後すぐにツイートし、今度は「われわれは日本との2国間交渉に向け動いている」と揺さぶりをかけてきた。

「米国はTPP復帰に応じる『えさ』を見せつつ、2国間交渉への突破口を開こうとしているのではないか」と、日本側の関係者は分析する。

TPPを主導してきた日本は、麻生太郎副総理とペンス副大統領による経済対話という枠組みを作り、米国に不利な条件を飲まされる恐れがある2国間の貿易交渉を避けてきた。今回の会談でも「向こうから言われない限り、こちらから持ち出すことはないかもしれない」(日本政府関係者)と、経済を議題にすることには後ろ向きだった。

しかし、別の日本政府関係者は「米国は(昨年秋の)2回目の経済対話で、これは日本側の引き延ばし策だと気づいた」と話す。3回目の開催はめどが立っておらず、もはや安倍首相とトランプ大統領が経済問題を話し合わざるをえない状況だと指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中