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中国経済

中国系不動産会社の売上実態は? 見かけの数字で株価急伸のカラクリ

2018年4月8日(日)18時00分

3月29日、香港上場の中国系不動産開発会社の多くは、高い売上高目標を掲げたことが市場で好感され、株価が急伸している。ただ、目標の数字は本体分に合弁事業の分を上乗せしているケースが多く、投資家は決算報告書を慎重に読み込む必要がありそうだ。写真は、マンション模型を見る人々。江蘇省で昨年12月撮影。提供写真(2018年 ロイター/CHINA STRINGR NETWORK)

香港上場の中国系不動産開発会社の多くは、高い売上高目標を掲げたことが市場で好感され、株価が急伸している。ただ、目標の数字は本体分に合弁事業の分を上乗せしているケースが多く、投資家は決算報告書を慎重に読み込む必要がありそうだ。

不動産会社は合弁事業の分を加えると決算報告書に記載される売上高の数字を2倍以上に膨らませることが可能だ。

ブルデンシャル・ブローカレッジのアソシエートディレクター、アルビン・チュン氏は「プロの投資家はこうした場合に数字の調整が欠かせないと分かっている。しかし個人投資家も理解しているのかどうかは疑わしい」と話す。

不動産会社側による規制への抵触はなく、株価は上昇しており、投資家はこうした動きにあまり注意を払っていないようだ。

しかしチュン氏は「市場の状況がひとたび変われば、問題が表面化するだろう」と述べた。

不動産開発大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)<2007.HK>が規則に基づいて公表する毎月の売上高見通しは合弁事業や関連会社の数字を合わせたものだ。緑城中国<3900.HK>は、合弁事業分を合わせた数字と本体分の両方を発表している。

一方、雅居楽集団控股<3383.HK>は昨年11月、毎月公表する売上高を本体と子会社の合算からグループ企業の累計に切り替えた。本体単独の分は損益計算書の脚注に記している。

ロイターが調査会社CRISから入手したデータに基づいて集計したところ、売上高上位50社の不動産会社のうち18社は決算報告書で初めに記した売上高の数字が本体単独の数字より30%ないし170%も大きかった。

北京に本拠地を置く不動産会社の関係者は「もちろん当社はより大きな数字を使っている。どの社もトップ10入りを狙っているのだから」と述べた。

実際に旭輝控股(CIFIホールディングス)<0884.HK>は今年売上高について前年比35%増の1400億元とする目標を掲げ、翌営業日に株価が急上昇した。同社は昨年の売上高のうち本体単独分が55%だった。

碧桂園控股も昨年の売上高5500億元のうち本体分は3960億元にすぎない。

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