最新記事

動物

渡り鳥をナビゲートする「体内コンパス」の正体が明らかに

2018年4月5日(木)20時50分
松岡由希子

渡り鳥のメカニズムを正体が明らかに kart31-iStock

<渡り鳥のメカニズムを解明するヒントとなりそうな研究成果が、相次いで発表されている>

なぜ、渡り鳥は、毎年、一定の時期に、長い距離をはるばる移動し、決まった場所にきちんと降り立つことができるのだろうか。

この謎を解き明かすヒントとなりそうな研究成果が、このところ、相次いで発表されている。

鳥の網膜にある青色光受容体が磁場を感知?

スウェーデンのルンド大学の研究プロジェクトは、2018年3月、キンカチョウに関する研究成果を英国王立協会の学術誌「ジャーナル・オブ・ソサエティ・インターフェイス」に発表した。

また、2018年1月には、ドイツのカール・フォン・オシエツキー大学オルデンブルグの研究プロジェクトによるヨーロッパコマドリの研究論文が学術誌「カンレントバイオロジー」に掲載されている。

これらの研究プロジェクトは、いずれも、鳥の網膜に「Cry4」と呼ばれる青色光受容体「クリプトクロム」の一種が存在することを確認しており、これを通じて、鳥が地球の磁場を感知しているのではないかと考察している。

網膜、筋肉、脳にある光受容性タンパク質を調べる

「クリプトクロム」は、青色光を感知し、動物の概日リズムに作用する光受容性タンパク質だ。鳥の磁気受容に関する仮説を1978年に初めて提唱した米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のクラウス・シュルテン博士は、鳥の目の中にある「クリプトクロム」がその役割を担っているとの見解を示している。

magnetic.jpg

鳥が磁気を見るイメージ UNIVERSITY OF ILLINOIS AT URBANA-CHAMPAIGN

ルンド大学の研究チームでは、キンカチョウの成鳥39羽を対象に、網膜、筋肉、脳にある「Cry1」、「Cry2」および「Cry4」の三種類の「クリプトクロム」が概日リズムを示すのかを分析した。

三菱UFJフィナンシャル・グループ
幅広いニーズに応える新NISAの活用提案──MUFGが果たす社会的使命
今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

EU、AI利用の包括規制案で暫定合意 違反企業に罰

ワールド

アングル:「出稼ぎ」パレスチナ人、失業16万人も 

ビジネス

アングル:自動運転車は安全か、タクシー事故契機に米

ワールド

ガザ停戦決議案を否決、国連安保理 米が拒否権行使、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イスラエルの過信
特集:イスラエルの過信
2023年12月12日号(12/ 5発売)

ハイテク兵器が「ローテク」ハマスには無力だった ── その事実がアメリカと西側に突き付ける教訓

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    シェア伸ばすJT、新デバイス「Ploom X ADVANCED」発売で加熱式たばこ三国志にさらなる変化が!?

  • 2

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ大統領...2人の「扱い」の差が大き過ぎると話題に

  • 3

    ハマスの地下トンネルに海水を注入する作戦、イスラエルは本当に決行するか

  • 4

    英ニュースキャスター、「絶対に映ってはいけない」…

  • 5

    下半身ほとんど「丸出し」でダンス...米歌手の「不謹…

  • 6

    「傑作」「曲もいい」素っ裸でごみ収集する『ラ・ラ…

  • 7

    「相手の思いに寄り添う」という創業者の思いへの原…

  • 8

    イスラエルの上にヒズボラの大型ロケット弾「ブルカ…

  • 9

    ロシアの大規模ドローン攻撃からウクライナの空を守…

  • 10

    相手の発言中に上の空、話し方も...プーチン大統領、…

  • 1

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的なドレス」への賛否

  • 2

    シェア伸ばすJT、新デバイス「Ploom X ADVANCED」発売で加熱式たばこ三国志にさらなる変化が!?

  • 3

    下半身ほとんど「丸出し」でダンス...米歌手の「不謹慎すぎる」ビデオ撮影に教会を提供した司祭がクビに

  • 4

    ロシアはウクライナ侵攻で旅客機76機を失った──「不…

  • 5

    反プーチンのロシア人義勇軍が、アウディーイウカで…

  • 6

    下半身が「丸見え」...これで合ってるの? セレブ花…

  • 7

    「ダイアナ妃ファッション」をコピーするように言わ…

  • 8

    上半身はスリムな体型を強調し、下半身はぶかぶかジ…

  • 9

    最新の「四角い潜水艦」で中国がインド太平洋の覇者…

  • 10

    周庭(アグネス・チョウ)の無事を喜ぶ資格など私た…

  • 1

    <動画>裸の男が何人も...戦闘拒否して脱がされ、「穴」に放り込まれたロシア兵たち

  • 2

    <動画>ウクライナ軍がHIMARSでロシアの多連装ロケットシステムを爆砕する瞬間

  • 3

    戦闘動画がハリウッドを超えた?早朝のアウディーイウカに攻め込んだロシア軍、悲劇の叙事詩

  • 4

    <動画>ロシア攻撃ヘリKa-52が自軍装甲車MT-LBを破…

  • 5

    ロシアはウクライナ侵攻で旅客機76機を失った──「不…

  • 6

    ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃…

  • 7

    リフォーム中のTikToker、壁紙を剥がしたら「隠し扉…

  • 8

    最新の「四角い潜水艦」で中国がインド太平洋の覇者…

  • 9

    またやられてる!ロシアの見かけ倒し主力戦車T-90Mの…

  • 10

    また撃破!ウクライナにとってロシア黒海艦隊が最重…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中