最新記事

スパイ

英メイ首相、元スパイ毒殺未遂「ロシアによる英国への武力行使」

2018年3月13日(火)15時37分

3月12日、メイ英首相は、英南西部ソールズベリーで今月、元二重スパイのロシア人男性とその娘が軍用神経剤にさらされ、意識不明の状態で発見された事件にロシア政府が関与している可能性が「極めて高い」との見方を示した。写真は5日、ロンドンで講演する同首相。代表撮影(2018年 ロイター)

メイ英首相は12日、英南西部ソールズベリーで今月、元二重スパイのロシア人男性とその娘が軍用神経剤にさらされ、意識不明の状態で発見された事件にロシア政府が関与している可能性が「極めて高い」との見方を示した。

首相は議会で、ロシアが神経剤を使った襲撃に直接関与したか、神経剤が他者の手に渡ることを容認したかのどちらかだと述べた。

英政府はロシア政府に対し、13日夜までに神経剤の用途について説明するよう求めている。メイ首相は、14日にロシア側の返答について詳細に検討すると述べた。

メイ首相によると、英当局者は事件で使用された神経剤が1970─80年代に旧ソ連軍が開発した神経剤「ノビチョク」だったと特定した。

ロシアと英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリア・スクリパリ氏(33)は今月4日に意識不明で見つかった後、現在も重体で入院している。

メイ首相は「信用できる返答がない場合、今回の事件をロシアによる英国への違法な武力行使に値すると結論付ける」と発言。襲撃は「無謀で卑劣だ」と非難した。

首相はまた、英国は従来よりも「はるかに幅広い措置」をロシアに対して講じる用意があると述べた。

ロシア外務省はすぐに反論し、メイ首相の発言は政治的な動機に基づくものだと主張した。

一方、ティラーソン米国務長官は、米政府はロシアが関与した可能性が高いとする英政府の見解を「十分信頼している」と表明。「犯罪を実行した人物もそれを指示した人物も重大な結果に向き合う必要があるとの見解に同意する」とした。

これに先立ち、ホワイトハウスのサンダース報道官は、米国は「最も緊密な同盟国」を支援すると表明したが、この事件を巡りロシアの責任を追及することはなかった。

[ロンドン 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米失業保険継続受給件数、10月18日週に8月以来の

ワールド

米FRB議長人選、候補に「驚くべき名前も」=トラン

ワールド

サウジ、米に6000億ドル投資へ 米はF35戦闘機

ビジネス

再送米経済「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中