最新記事

核開発

北朝鮮の「非核化」は実現されるか 悲観的結末を予想する理由

2018年3月10日(土)17時22分

失敗の歴史

1994年に当時のビル・クリントン政権が結んだ米朝枠組み合意は、北朝鮮が核開発プログラムを凍結するのと引き換えに、米国は軽水炉建設を支援して燃料を提供する内容だったが、ジョージ・W・ブッシュ氏が大統領に就任した後にご破算となった。ブッシュ氏は北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、94年の合意に違反したと非難したことで関係が悪化したのだ。

ブッシュ政権は最終的には6カ国協議に関与し、2005年に北朝鮮が経済・エネルギー支援を受ける条件で核開発プログラムを放棄することで合意が成立した。ところが05年に米政府が、マカオの銀行に北朝鮮が設けていた口座をマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで凍結し、北朝鮮が06年10月に最初の核実験を実施すると、米朝関係は再び緊迫化した。

07年には北朝鮮が軍事転用可能なプルトニウムを製造する寧辺の核施設の稼働停止・封印を受け入れ、見返りに重油を提供してもらうなどの新たな合意が成立したものの、09年にはそれも無効となった。

いつもの手

北朝鮮はこれまでに6回の核兵器実験を実行し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の配備を目指す段階にまで進んだ。もし専用の核弾頭とセットで完成しているなら、米本土が脅威にさらされかねない。

こうした中で米政府の現役・元高官は、実際問題としてどこの国であっても既に保有している兵器体系を放棄させるのは、開発中の兵器の場合よりずっと難しいと説明する。

東アジア・太平洋担当の元国務次官補ダニエル・ラッセル氏は「北朝鮮の核・ミサイル開発における進展をある程度元に戻させようとするのは至難の業だ」と主張。その上で「朝鮮半島に平和は出現していない」と語り、北朝鮮は今のところ非核化で譲歩する考えはまったく示唆していないと付け加えた。

ラッセル氏の解説では、北朝鮮の今回の行動は「お決まりの」パターンであり、西側を鎮静化させる時間稼ぎのための提案だ。「従来なら次に北朝鮮は、重大あるいは不可逆的な約束や譲歩を何もせずに、要求をエスカレートさせていく。そして最終的に要求が限界に達し、米国ないし韓国が一歩も譲らなくなると、それを口実に挑発するサイクルに戻る」という。

(Arshad Mohammed、David Brunnstrom記者)

[ワシントン 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプのイラン攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月10号(3月3日発売)は「トランプのイラン攻撃」特集。核・ミサイル開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。アメリカとイランの全面戦争は始まるのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、対イラン作戦で米軍優勢 紛争後の米の役

ビジネス

米国株式市場=反発、イラン巡る外交に期待 ハイテク

ビジネス

NY外為市場=ドル反落、中東懸念後退でリスク選好回

ワールド

イラン、CIAに停戦協議打診も返答なし イスラエル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 8
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 9
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中