最新記事

マリファナ

医療大麻の新時代到来か 「大麻先進国」カナダ企業が薬品開発を加速

2018年3月1日(木)15時40分


研究少なく、議論多し

大麻の成分を使った医薬品の効果とリスクを巡っては、いまだに激しい議論が交わされている。

長期使用による中毒や認知機能障害、不安神経症やうつ病、肺がんなどに対する懸念が、米国立衛生研究所(NIH)のウェブサイトに掲載された2014年の論文で挙げられている。

「大麻は、カナダ保健省の厳しい医薬品規制プロセスをまだ通過していない」と、カナダ内科学会(CMA)のローラン・マルクー会長は指摘。「適量や起こり得る副作用、そして他の医薬品にどう作用するかについて医師は分かっていない」とマルクー会長は語った。

2016年8月に保健省から医療用大麻の販売を許可されたエンブレムは、オピオイドへの依存を軽減する新たな鎮痛剤に適したカンナビノイド類を見つけ出す研究に、向こう2年間で320万カナダドルを投じる。

同社医薬品部門の責任者、ジョン・スチュワート氏は以前、米医療用麻薬最大手パデューファーマの北米CEOを務めていた。北米にまん延するオピオイド危機を招いた主因とされる鎮痛剤オキシコンチンを製造販売する会社だ。

だがスチュワート氏は、さらにデータが必要だと語る。

「オピオイドの服用を中止したいが、疼(とう)痛コントロールは続けたい患者に対し、医療用大麻による治療をどのように始めたらいいのか、われわれはまだ分かっていない」と同氏は述べた。

医薬品市場で「ばく大な可能性」を持つかもしれない完全に規制された製品を開発するために研究費を調達する中、医療用大麻の製造会社は、合法だが規制されない医薬品を販売し続けることが可能だという、まれに見る好条件に恵まれていると、メッドリリーフのニール・クロズナーCEOは語る。

「われわれには、多くの人が将来、さまざまな医薬品に取って代わるかもしれないと考える製品を販売することが許されている」と同CEOは説明。「だがそれには、カナダ保健省による従来の承認プロセスを経なければならないという義務はない」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

Nichola Saminather

[トロント 16日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

今年の財貿易伸び1.9%に鈍化、WTO予想 イラン

ビジネス

EUのエネルギー高騰対策、一時的かつ的絞るべき=E

ビジネス

中国レアアース磁石輸出、1─2月は前年比8.2%増

ビジネス

米ガソリン小売価格、中東戦争で30%急騰 1ガロン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 5
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 6
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 9
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 10
    トランプ暴走の余波で加熱するW杯「ボイコット論」..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 10
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中