最新記事

アメリカ政治

銃規制のためには政治から立て直す、100万人集めた米高校生の驚くべき成熟度

“Tomorrow Is the Beginning of Democracy”

2018年3月26日(月)20時00分
マーク・ジョセフ・スターン

高校3年生のジオン・ケリーは去年9月、双子の兄が射殺された事件について語った。「毎日、登下校が恐ろしくてたまらないみんなの代表です」とケリーは語り、ワシントンでは19歳未満の若者がこの1月だけで6人も射殺されたと言った。

涙をこらえながら、彼は演説をこう締めくくった。「僕の名前はジオン・ケリー。皆と同じで、もうたくさんだ」

でも何がたくさんなのか? たしかに銃撃はもうたくさんだ。でもそれだけではない。救いを求める地域の声に耳を貸そうともしない政治家ももうたくさん。問題に向き合う勇気もないくせに、解決不可能な問題なのだ、と逃げを打つ議員たちもたくさん。大人になればわかる、とあしらわれるのも、もうたくさんだ。

「分断されてたまるか」

それがはっきり伝わってきたのが、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生存者で運動のリーダー、デービッド・ホッグの発言だ。自分に世界を変える力があると思い至ったのだろう(それはたぶん間違ってはいない)。こうした場で話すのが初めてなのがよく分かる、簡潔だが大げさな言葉遣いで緊張気味の彼はこう言った。




「今日は春の始まりの日であり、明日は民主主義の始まりの日です。今こそ団結する時です。でもそれは民主党員や共和党員としてではありません。アメリカ人としてです。アメリカ人は同じ血の通った人間であり、同じ1つのこと、1つのことだけを心にかけます。それはこの国の、そして国を引っ張っていく子供たちの未来です。今、私たちを年齢で分断しようという動きがあります。宗教で、人種で、選挙区で、階層で分断しようという動きがあります。でもそんな試みは失敗するでしょう。私たちは団結できるはずです」

政治を超越するというホッグの宣言は、最初は眉唾ものに聞こえるかも知れない。「命のための行進」の掲げる政策プランは民主党支持層からは支持されているが、共和党支持層からは支持されていない。そもそも銃危機と呼ぶべき今の事態を招いた罪は、主として共和党にあることは誰でも知っている。

だがホッグは、いわゆる超党派の政策合意といったきれい事を説いているわけではない。民主党に共闘を呼びかけているのでもない。彼が望んでいるのは、議論のあり方を根本から変えることだ。民主党支持者が、ひいては共和党支持者たちも、自らを変える以外に選択肢がないような形で。

【関連記事】
>銃乱射の被害者を訪問したトランプ、ご機嫌で大顰蹙。この男に心はあるのか?
>銃乱射を阻止するには教師も銃をもつべきだ?
>今回は違う──銃社会アメリカが変わり始めた理由

ニュース速報

ワールド

離脱協定は95%完了、EUの「安全策」には反対=メ

ワールド

イタリア、ユーロ圏加盟維持にコミット=副首相

ビジネス

正午のドルは112円後半、アジア株高を好感

ワールド

メルケル独首相、ディーゼル車走行禁止回避に向けた法

MAGAZINE

特集:日本人がまだ知らないウイグル弾圧

2018-10・23号(10/16発売)

中国共産党によって続くウイグル人の苛酷な強制収容── 世界はこの人権侵害からいつまで目を背けるのか

人気ランキング

  • 1

    子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査

  • 2

    ドイツで潰えたグリーン電力の夢

  • 3

    ムスリム世界が「同胞」ウイグルの悲劇を無視する訳

  • 4

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 5

    トランプ貿易戦争の皮肉 ブラジル農家に豊かにし米…

  • 6

    真っ裸の水遊びに学校公認の火遊び......アメリカ人…

  • 7

    中国で2020年までに「人工の月」を打ち上げる計画が…

  • 8

    新世代の独裁者が跋扈する「アラブの冬」がやって来た

  • 9

    小説『ロリータ』のモデルとなった、実在した少女の…

  • 10

    故ホーキング博士、遺伝子操作による「超人間」の誕…

  • 1

    子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査

  • 2

    「ありえないほどかわいい」羊に世界中から引き合い殺到

  • 3

    ムスリム世界が「同胞」ウイグルの悲劇を無視する訳

  • 4

    小説『ロリータ』のモデルとなった、実在した少女の…

  • 5

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 6

    ノーベル平和賞のヤジディ教徒の女性が、ISISの「性…

  • 7

    アルコールとがんの関係が明らかに DNAを損傷、二度…

  • 8

    金利上昇で住宅ローンが危ない! 収支ギリギリの人…

  • 9

    心肺停止後、5分は意識がある!? 最新の脳神経学で…

  • 10

    この虫を見たら要注意!大量発生で農作物や木を枯ら…

  • 1

    「売春島」三重県にあった日本最後の「桃源郷」はいま......

  • 2

    「まぶた失い眠れない」 イギリスで急増する硫酸襲撃の恐怖

  • 3

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 4

    子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を…

  • 5

    日本の空港スタッフのショッキングな動画が拡散

  • 6

    ペンギンの同性カップル、両親からひなを誘拐

  • 7

    SNSのイタイ「セクシー自撮り」に隠された本音 他に…

  • 8

    アルコールとがんの関係が明らかに DNAを損傷、二度…

  • 9

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 10

    発見した研究者が我を忘れるほど美しい、新種の魚「…

資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
デジタル/プリントメディア広告営業部員を募集
「♯レゴのすべて」投稿キャンペーン
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版

ニューズウィーク日本版特別編集 レゴのすべて

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月