最新記事

生態系

空から降るウイルス、想定より千倍以上多かった

2018年2月13日(火)15時00分
高森郁哉

空から降るウイルスは想定以上だった Andrey Danilovich-iStock

ウイルスは高度1000メートル以上の上空にも存在し、日々地上に降り注いでいる。こうした空から降るウイルスは、以前考えられてよりもはるかに多いことが、カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)の研究者らによって明らかになった

論文は英学術誌ネイチャー系の微生物学専門誌「ISME」に掲載され、「サイエンス・アラート」などが報じている。

UBCの調査結果

米農務省森林局の以前の調査では、米国内の森林部の上空から、年間に1エーカー(約4047平方メートル)あたり1兆個以上のウイルスが降り注ぐとしていた。これを換算すると、1日に1平方メートルあたり約68万個のウイルスに相当する。

一方、UBCのウイルス学者カーティス・サトル博士らは、スペインのシエラネバダ山脈において、大気境界層(高度1000メートル)よりも高い自由大気圏内(2500〜3000メートル)の空気中で調査を実施。その結果、1日に1平方メートルあたり8億個以上のウイルスが大気境界層に降り注いでいることがわかったという。この数字は、先の米森林局の測定値の約1200倍となる。

発見の意義

こうした自由大気中のウイルスは、地表に堆積する前に数千キロも移動する場合があるという。研究チームは、地球上の遠く離れた場所で遺伝子的に同等のウイルスが同時に検出される現象が、今回の調査結果で説明できるとしている。

上空に大量のウイルスが存在し、常に地上に降り注いでいることは、必ずしも悪い面ばかりではない。人間にとって有害なバクテリアを殺すバクテリオファージ(殺菌ウイルス)も存在する。研究チームは、ウイルスが大気中を移動しながら長期間とどまることは、ウイルスの多様性を保ち、生態系が環境の変化に対応するのに役立っているはずだとしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・イラン協議、パキスタン「開催の用意」 1週間以

ビジネス

米労働生産性改定値、25年第4四半期は1.8%上昇

ビジネス

エネルギー高、22年より広範に定着の可能性=オラン

ワールド

米国務長官、27日のG7外相会合で中東・ウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 7
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 8
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中