最新記事

自動運転

日産とDeNAが自動運転レベル4で実証実験 横浜みなとみらい地区で

2018年2月24日(土)10時23分

2月23日、日産自動車とディー・エヌ・エー(DeNA)が3月にドライバー不要の自動運転車による移動サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を横浜市内で行う。21日撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

日産自動車<7201.T>とディー・エヌ・エー(DeNA)<2432.T>が3月にドライバー不要の自動運転車による移動サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を横浜市内で行う。2020年代早期に日本で同サービスを展開することを目指しており、実験で最適な形態の検証や課題などを洗い出す。

実験は3月5日から18日まで行われ、ネットで募った一般のモニター約300組が参加する。自動運転車は旧型の電気自動車(EV)「リーフ」をベースに開発。遠隔管制システムで車の位置や速度、バッテリー残量などを管理して安全を確保するが、今回の実験では万が一に備えてドライバーが同乗する。

イージーライドは単に配車するだけでなく、目的と移動を結びつけたサービス。ユーザーはスマートフォンの専用アプリを起動すると、「何をしたいか」をまず画面で尋ねられる。例えば「おいしい朝食を食べたい」と声で目的を入力すると、候補となる飲食店が複数表示され、目的地、乗降地、乗車日時を選択して車の予約を確定する。指定した配車時刻に車が到着し、ユーザーがアプリでドアロックを解除。後部座席に乗り込むと、車が自動運転で目的地まで連れて行ってくれる。

23日会見した日産の西川廣人社長は「魅力ある車の提供」という本業に加え、車の電動化・知能化という「技術革新の先にある新しいモビリティーサービスの提供」という事業進化につなげると指摘。DeNAの守安功社長は高齢化に伴う移動困難者の増加や運輸業界が抱える人手不足などさまざまな社会課題を「インターネットやAI(人工知能)の力を活用して解決したい」と語った。

場所は横浜市のみなとみらい地区周辺で全長約4.5キロメートルのルートと4つの乗降地に限るが、モニターはアプリで車を呼び出し、目的地まで移動するサービスを体験してもらう。

走行中、車内のタッチパネルには目的地周辺のお店で実際に使えるクーポンなども表示される。紹介する提携店舗には「運賃の一部を負担していただくことも検討する」(DeNAの中島宏執行役員)という。

日産、仏ルノー、三菱自動車<7211.T>3社のアライアンス専務執行役員で、コネクテッドカーと移動サービスの責任者を務めるオギ・レドジク氏は、イージーライドで得られる技術は「3社全ての能力向上に役立つことを期待する」と述べた。また、海外でのサービス展開では「それぞれの市場での現地パートナーがいるだろう」と話した。

(白木真紀、田実直美)

[横浜市 23日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中