最新記事

韓国

アメリカ代表が「犬工場」の90匹を救出 持ち帰るのはメダルじゃなくて子犬! 

2018年2月26日(月)18時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Gus Kenworthy-Facebook

<食用にされる運命にあった犬たちは、オリンピック選手とともに韓国を後にして新たな家族と人生を歩む>

熱気冷めやらぬまま、2月25日に閉幕したピョンチャン(平昌)冬季五輪。開催前は北朝鮮にまつわる政治的かけひきの行方に注目が集まっていたが、他にも注目されたトピックがある。韓国の犬食だ。

韓国が文化的に犬食をしていることは欧米でも知られており、オリンピックに参加したオランダのスピードスケート代表のヤン・ブロクハイゼン選手が「韓国は犬を大切にしてください」と発言。銅メダル獲得後の会見の終盤での一言に、韓国のネットユーザーを中心に「レイシスト(人種差別主義的)で異文化に無知」といった声が挙がるなど、騒動となった。

【参考記事】オランダのスケート選手「犬を大切にして」に韓国ネットが猛反発

しかしこれ以外にも、「反犬食」をアピールした選手がいる。

アメリカ代表のガス・ケンワージー選手だ。ケンワージーは、フリースタイルスキー男子スロープスタイルに出場した選手で、前回のソチオリンピックの銅メダリストでもある。ソチから1年後の2015年に自身のフェイスブックで、同性愛者であることを告白したことでも知られており、平昌では競技の出走前にパートナーの俳優マシュー・ウィルカスとキスをした映像が大きく報道された。

肝心のケンワージーの順位は12位と表彰台を逃したが、この2人はメダルに代わる大切なものを持ち帰った。

英デイリーメールによると、ケンワージーとウィルカスは平昌から足を伸ばし、ソウルから車で約40分の場所にある食用の犬の繁殖施設を訪れた。

ケンワージーらをこの施設に導いたのは、世界各地で動物愛護を支援するヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HSI)。HSIによると、同施設は他と比べて「良好な状態」という。しかしケンワージーは、寒空の下で電熱線で囲われた檻に入れられ、栄養失調で虐待されていると訴える。さらに、ケンワージーのインスタグラムの投稿によると、出荷される犬は他の犬が見ている前で感電死させられるという。

ケンワージーは農場のオーナーに対し、食用の犬の繁殖をやめるよう説得したとAP通信が報じている。このオーナーは、もともとペットとして飼っていた珍島犬(韓国原産の犬種)が子犬を産みすぎて、食用にする以外に選択肢がなかったと弁解。HSIのキム・ナラによると、これを機に施設はHSIの資金援助を受けて養犬業から手を引く。オーナーは今後、キノコなど他の作物の生産に切り替える計画だ。

韓国ではいまだ、食用として飼われている犬が1万7000匹存在するとみられる。ケンワージーは今回訪問した施設にいた87匹をアメリカとカナダに連れて帰り、里親の手に渡すという。また、2人はこのうち1匹を家族に迎え入れることをインスタグラムで報告。瞬く間に18万を超える「いいね!」が付いた。ビーモと名付けられたメスの子犬は、予防接種など必要な手続きを経てケンワージーとウィルカスの待つ、アメリカの新居に向かう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

サムスン電子、第3四半期は32%営業増益へ AI需

ワールド

ベネズエラ、在ノルウェー大使館閉鎖へ ノーベル平和

ビジネス

英中銀、今後の追加利下げの可能性高い=グリーン委員

ビジネス

MSとソフトバンク、英ウェイブへ20億ドル出資で交
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中