最新記事

テクノロジー

わが家のアレクサが勝手に広告を読み上げ始める日

2018年1月31日(水)17時00分
クリスティーナ・ボニントン

おすすめ商品が「的確過ぎる」場合にも、ユーザーから敬遠される可能性がある。ネット大手の各社が常に私たちの行動を監視し、会話に耳をそば立てているという懸念は、ただでさえ高まっているからだ。

実際、アマゾンがアレクサのプラットフォーム上でダイレクトに広告を出すようになれば、同社はある意味、未知の領域に足を踏み入れることになる。

現状でも各社は自社アプリに広告を組み込んだり、自社のアプリ販売サイトで自社製品を宣伝したりしている。しかしスマートフォンのプラットフォーム(iOSやアンドロイド)に直接、広告を入れるようなことはしていない。この点はアップルのSiri(シリ)やグーグル・アシスタントでも同様だ。さらにアップルは独自のブラウザ「サファリ」の最新版で、ユーザーのプライバシー保護を強化する一環として広告目的のクッキー使用を制限する措置を打ち出してもいる。

しかしアレクサの場合、在来のプラットフォームと違って指を使わず視覚にも頼らず、音声で操作する。その使用体験はある意味、全くパラダイムの異なるものと言える。

ライバル各社はどうする

しかもアマゾンという会社は本質的に小売業だ。同社が提供するものは全て、消費者をアマゾンの生態系内に囲い込み、より多くの商品を購入する気にさせるようにできている。そうであれば、アレクサのプラットフォーム上に広告が紛れ込んでくるのも当然の成り行きだ。

果たして他社のAI音声アシスタントも、同様に広告を組み入れてくるだろうか。例えばグーグル・ホームやアップルが発売予定のホームポッドの場合は、むしろ「広告なし」をセールスポイントにしたほうがアマゾンとの差別化をしやすいかもしれない。

しかしAI機器の操作がますます音声志向を強めるなか、極めて優れた広告・検索プラットフォームを持つグーグルがアマゾンに追随し(あるいはアマゾンより先に)広告を入れてくる可能性は高いように思える。そうしなければ、いずれアマゾンが検索・広告分野におけるグーグルの覇権を脅かす存在となる恐れもあるからだ。

いずれにせよ、アレクサのようなAIアシスタントは私たち個人の好みや家庭での行動や習慣について、ますます多くのことを学びつつある。そうして学んだ知識の蓄積が有益な情報であることも、まず否定できない。たとえそれが、私たちをいつか広告漬けにする事態につながるとしても。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

© 2018, Slate

[2018年1月30日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、トランプ氏の攻撃延期表明で

ビジネス

最も可能性の高い道筋は一つでない、金利巡り=SF連

ワールド

ロ、イランに情報提供 「反論の余地ない」証拠ある=

ワールド

イランのガリバフ国会議長、権力中枢で存在感 米交渉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 3
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に困る」黒レースのドレス...豊胸を疑う声も
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 6
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    イラン戦争の陰で悪化する「もう1つの戦争」とは?
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 6
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 7
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 10
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中