最新記事

宇宙

天空に輝くミラーボール、打ち上げ成功

2018年1月26日(金)19時27分
キャサリン・ハイネット

夜空でいちばん明るく輝くよう打ち上げられた人工の星 Rocket Lab

<間もなく地球上の誰もが眺められるようになる。人類の心を1つにする星>

星空をバックにひときわ明るく輝く新しい「星」が、世界中で見られることになりそうだ。

アメリカの航空宇宙ベンチャー、ロケット・ラボは1月20日に小型衛星打ち上げ用に開発したロケット「エレクトロン」を打ち上げたが、その時、通常の小型衛星の他に、炭素繊維で作った直径約90センチの玉を密かに打ち上げたのだ。64枚の光るパネルで覆われたその玉は、ディスコのミラーボールにそっくり。「ヒューマニティー・スター(人類の星)」という名前のミラーボールは、高速で回転しながら地球を周回し、太陽の反射で世界中どこからでも明るく見られるようになるという。

この物体には、眺める以外の用途は何もない。ロケット・ラボのピーター・ベックCEOがこんなものを作って打ち上げた理由は、かなり壮大でロマンチックなもの。メールで取材に答えてくれたベックはこう書いてきた。「たとえ世界のどこにいようと、人生で何が起こっていようと、夜空を見上げれば誰でもこのミラーボールが見える。それを眺めながら遥かな宇宙に思いを馳せて、人々の暮らしや行い、人類の尊さを見直す機会になればいいと思う」

誰もがそんなビジョンに賛成というわけではない。ニュージーランド・オークランド大学の物理学者リチャード・エッシャーは、「安っぽい宣伝行為」とツイートした。「宇宙飛行士や本物の星空を楽しみたい人々の邪魔にならなければいいが」

ヒューマニティー・スターは9カ月経つと、地球の重力につかまって大気圏に突入してその「使命」を終える。ロケット・ラボによると、アメリカでは2週間後ぐらいから見えるようになり、3月が見ごろだという。ロケット・ラボのサイトを見れば、ミラーボールがいつあなたの上空を通過するかわかる。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国地裁、保守系候補一本化に向けた党大会の開催認め

ビジネス

米労働市場は安定、最大雇用に近い=クーグラーFRB

ワールド

パナHDが今期中に1万人削減、純利益15%減 米関

ビジネス

対米貿易合意「良いニュース」、輸出関税はなお高い=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中