最新記事

北朝鮮

トランプは金正恩の「便器」を爆撃せよ

2018年1月17日(水)17時00分
ジョン・ハルティワンガー

視察先にもトイレを持ち歩くと言われる金正恩(2018年1月17日) KCNA/REUTERS

<「肥だめ」が嫌いで北朝鮮の限定空爆を考えているなら、金正恩がどこにでも持って行くと言われる「陶器の玉座」を狙えば一石二鳥だ>

ドナルド・トランプ米大統領は「肥だめ」がお気に召さないようだ。先日も、アフリカや中南米のような「肥だめ」からの移民はいらないと言っていた。ならばいっそ、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長のトイレを爆撃してはどうか──北朝鮮に詳しい専門家が、こう主張して注目を集めている。

軍縮情報サイト、アームズ・コントロール・ウォンクの創設者ジェフリー・ルイスは1月14日、ニュースサイトのデイリー・ビーストで皮肉たっぷりにこう書いた。「金正恩を脱糞するほど怖がらせる手段として、トランプはこの独裁者が愛用する『陶器の玉座』の爆撃を検討すべきだ」

「人工衛星による誘導が可能な2000ポンド(約907キロ)クラスの爆弾を使用すれば、(金正恩の)便器を爆撃できる」と、ルイスは言う。

「完璧な作戦だ。金正恩愛用のポータブル式便器を破壊すれば、、大切な生活必需品を奪うことができる。アメリカの精密誘導兵器の正確さもアピールできる。正恩とその取り巻きも、自らの身に危険が迫っていることを思い知るだろう。『大便をしている最中にお前たちを殺すことだってできる』というメッセージを突き付けることができる」

「それに、おまるを爆破する行為自体が大いに笑える」

核兵器による報復を招かない標的

ルイスの主張は、トランプ政権が北朝鮮の「出鼻をくじく(bloody nose)先制攻撃」を検討していることに対する皮肉だ。報道によればそれは、北朝鮮の核関連施設に限定的な爆撃を仕掛けて核開発計画をつぶし、同時に米軍の圧倒的な力を思い知らせる作戦だ。

こうした先制攻撃の最大の課題は、「敵の戦意を喪失させるのにふさわしい標的を選ぶ」ことだ。「正恩に脅威と屈辱を与えながら、核兵器による報復攻撃を招かない程度の標的が必要だ」と、ルイスは記す。

それであれば、正恩が(ミサイル発射実験場も含めて)北朝鮮国内を視察する際に必ず持ち歩いていると伝えられる愛用のポータブル便器は絶好のターゲットかもしれない。「爆撃に際しては、絶妙なバランスを保つ必要がある。この条件を満たす標的は、彼の携帯トイレしかない」と、ルイスは言う。

北朝鮮をトイレに置き換えただけのこの風刺がいかに痛烈なものかは、ルイスの記事のタイトル「北朝鮮を爆撃するための穏健なる提案」にも表れている。これは『ガリヴァー旅行記』で有名な英国の作家ジョナサン・スウィフトが1792年に発表した風刺文書「穏健なる提案」をもじったもの。スウィフトはその中で、出身地アイルランドの窮状を解決する方法として、貧民は金銭と引き換えに、自分の子供を食料として富裕層に提供すべきだと提案しているのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 

ワールド

米政権、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止を指示

ワールド

焦点:イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 10
    先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 8
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中